【二重被爆】広島・長崎で原爆にあった男性の孫が伝える祖父の体験
広島と長崎の両方で原爆にあった「二重被爆者」の孫が広島を訪れました。ふたつの被爆地で祖父の壮絶な体験を語る思いを取材しました。
■被爆3世 原田小鈴さん
「二重被爆者の存在をもっともっと多くの方に知っていただきたい」
11日、広島市中区で開かれた講演会。語るのは、長崎市に住む被爆三世の原田小鈴さんです。原田さんの祖父・山口彊さんは、29歳の時、出張先の広島で被爆。その3日後、ふるさと長崎で再び被爆しました。二重被爆者として、自らの体験を伝え続け、2010年に93歳で亡くなりました。
彊さんの死後、原田さんはその体験を語り継いできました。原田さんが広島で祖父の体験を話すのは4回目。いつも特別な思いで臨んでいるといいます。
■被爆3世 原田小鈴さん
「やっぱり同じ被爆地でしょ。すごく緊張しますよ。同じ痛みが分かるだけに」
講演会は、広島で被爆体験の継承に取り組む市民グループが企画しました。祖父・彊さんの体験をえがいた紙芝居で、二重被爆を伝えます。
■被爆3世 原田小鈴さん
「しばらくして私は高い空に立ち上がったキノコ上の巨大な雲の柱を見た。まるでキノコ雲に追いかけられているみたいだと私はつぶやいた」
会場は満席。約90人が耳を傾けました。
■講演を聞いた人
「『原子雲が広島から長崎に追いかけて来たような気がする』とおっしゃったのがすごくこたえましたね」
「なぜ2回目の原爆投下があったかというところを、二重被爆の方を通じてもっと考えていきたい」
■被爆3世 原田小鈴さん
「(原爆が)2つ投下された意味を考えてもらうきっかけになればいいかなと思っているんです。 (祖父の)ルーツから自分たちができる役割は、やっぱり広島と長崎をつなぐことなのかな」
原田さんは、二重被爆について多くの人に知ってもらうため、講演を続けたいとしています。
【2024年5月13日放送】