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牛と成長 畜産学んだ女子高生の巣立ち

2025年3月5日 19:06
牛と成長 畜産学んだ女子高生の巣立ち

担い手不足などに直面する畜産農家を目指し、牛の飼育に青春をささげた女子高生がいます。3年間、牛の成長、そして命と向き合った彼女らが4日卒業式を迎え、夢への一歩を踏み出しました。

■卒業式・入場
「児玉真梨菜」「松木紗希」

4日行われた県立庄原実業高校の卒業式。3年生の松木紗希さん。そして児玉真梨菜さんも将来の夢に向かって巣立ちの日を迎えました。人口3万人余りの庄原市。私たちが取材を始めたのは、去年7月のこと。2人は、生物生産学科で畜産について学んでいた女子高生、松木さんと児玉さんです。

放課後になると、2人は農場へ…。和牛を飼育する毎日です。児玉さん。得意なことはミルクやり。牛に夢中になったきっかけです。

■児玉さん
「兄が入学しててそれで動物もあるから来てみたらと誘われたのがきっかけでめっちゃ牛かわいいじゃんとなってそこで哺乳で牛にはまってしまって」

松木さんは、ブラッシングを通して牛との信頼関係を深めます。

■松木さん
「自分は家が農家なわけでもなくて非農家出身なんですけど小さい頃から動物が好きで動物に関わる仕事に就きたいなと思ってたときに庄原実業という学校があると知って」

庄原実業高校では和牛と乳牛、合わせて29頭を飼育。2人は入学以来、主に和牛の研究に取り組み、コンテストへの出品を目標としていました。「広島県畜産共進会」。体形の美しさなどを競う100回を数える大会で畜産業界を盛り上げてきました。牛を出品できるか。知らせが届きました。

■ON
「選ばれました。おーパチパチパチよかった」

選ばれたのは「りんりん号」という名前の和牛。発育の良さが評価されました。

■司会
「畜産共進会開会を宣言します」

共進会は2人にとって初めての大舞台です。出品された牛は、県内の畜産関係者の和牛と乳牛合わせて73頭。審査は、繁殖用のメス牛としての適正など10項目に上ります。

■発表
「1号を頭とする11号までが本日の優秀賞」

審査の結果、りんりん号は、「優秀賞」を獲得しました。

■児玉さん
「おめでとうよかったなーよかったよかった」

■児玉さん
「うれしいですね毎日コツコツやってきたかいがあった」

畜産を学ぶ上で避けては通れない道もあります。この日は、育ててきたもう一頭、「心結号」の出荷です。

■松木さん
「一番かかわってきた子なので悲しいです」

別れを惜しみます。

■松木さん
「ありがとう2年半ぐらい」

■児玉さん
「じゃあね」

産まれて間もないころからおよそ2年半、ほぼ毎日、世話をしてきました。出発の時です。

■出発
「バイバイ心結」

■松木さん
「これから畜産をやっていく上で何回も乗り越えていかなきゃいけない壁だと思っているので慣れることはないんですけど自分が関わってきた関わっていく1頭1頭に感謝を込めてこれからも畜産をやっていきたいと思う」

■児玉さん
「愛情を込めて育ててきた子なのですごく悲しいですけどいろんな人に美味しいと言って食べてもらえたらうれしい」

2週間後。2人の姿は、広島市内の商業施設にありました。出荷した和牛を自ら消費者にアピールするためです。地元で育てた牛を食べてほしい…。畜産にかける熱い思いを伝えます。


■松木さん・客
「いかがですかおいしいありがとうございます」

■客
「脂っこくもないしさっぱりした感じで美味しかったです」

■児玉さん
「いろんなお客様にいいお肉だねとかいい色だねと褒めてもらえることが多いのでうれしい」

■松木さん
「牛を育てる上で最終的にゴールが消費者のみなさんにおいしいと言ってもらえることがゴールだと思うので自分たちの若い世代がこういうことを通して食というものを発信していくのはとても大切なことだと考えている」

飼育から出荷、そして販売まで。かけがえのない経験となりました。

卒業が迫るなか、学んだ知識を後輩へと引き継ぎます。

■アドバイス
「短い方を右から下に通して長い方で輪っかを作る牛は後ろから追ってね」

そして、1年生から2人への贈りもの。

■1年生
「キーホルダーは牛の皮で作りました」
■2人
「心結ちゃんの おー やばーい」

出荷した牛の革で作ったキーホルダーです。思いがこみ上げます。

■松木さん
「成長させてもらったなと思います」

■児玉さん
「3年間しっかりやりきれたなと思うありがとうございました」

畜産を学んだ3年間は、2人の将来への糧となりました。

■松木さん
「この春から宮崎大学に進学して 研究をしたいなと思ってるんですけど、そういう基礎を作ってくれたところなので、先生たちに恩返しをするという意味で大学でもしっかりと勉強していきたいと思う」

■児玉さん
「卒業後は(地元の)農業技術大学校に進学して、さらに畜産の技術や知識を身につけていきたいと考えている。その後は、叶うかわからないですけどいずれは自分の力で畜産業をやっていけたらと思っている」

担い手不足などに直面する畜産業界に携わり、盛り上げたい…。3年間のかけがえのない経験を胸に2人は、再開を誓って思い出の牛舎に別れを告げました。

【2025年3月5日放送】

最終更新日:2025年3月5日 19:06
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