広島大学の26歳女性研究者『アジアの科学者100人』に選出! 「科学にジェンダーが関係あると思っていない」
広島大学の20代の女性研究者が、アジアを代表する科学者の1人に選ばれました。専攻するのは、女性の研究者がまだ少ない物理分野。その1日に密着しました。
広島大学初選出の若き助教とは…!?
学生を前に、物理の講義をする、片山春菜さんは26歳。広島大学大学院の「助教」です。片山さんは2023年、シンガポールの科学誌が選ぶ「アジアの科学者100人」に、その名を連ねました。医学や物理学などに優れた功績を残したアジアの科学者に贈られる賞で、広島大学からの選出は初。評価された研究のテーマは、「宇宙」です。
そこにある「ブラックホール」では、現代の技術では観測不能な現象が起きています。今回評価されたのは、片山さんが示したその現象を説明するために助けとなる理論です。
■広島大学大学院 先進理工系科学研究科助教 片山春菜さん
「全く『アジアの100人』に選んでいただけると想像していなかったので、驚いたのが一番。世界で誰も知らないことを自分たちがやっているんだというのでワクワクした。」
今後研究が進めば、次世代の情報処理や通信での応用が期待されます。
研究者としての道を選ぶ
これまでにも数々の賞を受賞しましたが、不安もあったと言います。
■広島大学大学院 先進理工系科学研究科助教 片山春菜さん
「周りの友達が就職活動をしていく中で、自分だけが取り残されている感覚があって。」
そんな時、導き出した理論。物理の楽しさを知り、研究者としての道に進みます。
助教になって2年。今年初めて、指導する学生を受け入れました。
■広島大学大学院 先進理工系科学研究科助教 片山春菜さん
「はじめは指導するとなると自分の中で自信がなくて、指導するというよりは一緒に学んでいけたらいいなと」
■男子学生(3年生)
「数式を解いているときの式が、どういう物理的意味をもつのか、本質に迫った質問を(してくれる)。めちゃくちゃ刺激的な経験になる。」
紅一点の研究グループだが…
片山さんが所属する研究グループ「Qfit」。学生から教授まで、立場は様々です。
■広島大学大学院 先端物質科学研究科助教 飯沼昌隆さん
「ある種想像できるような、ヒントがあればいいと思ったが?」
■広島大学大学院 先進理工系科学研究科助教 片山春菜さん
「まだそこを整理しきれていなくて、そこを議論させてほしくて…」
何事にも物怖じしない片山さんは、すべてに前向きです。
■広島大学大学院 先端物質科学研究科助教 飯沼昌隆さん
「非常にエキサイティングですね。研究内容が、皆さんが興味をもっていることをストレートにされている。」
■広島大学大学院 先進理工系科学研究科教授 ホフマンホルガさん
「宇宙との関係と、素粒子との関係を説明できるから、素晴らしい研究ですね。」
研究グループに所属する女性は、片山さん一人だけ。日本の研究者に占める女性の割合は2割以下で、OECD加盟国の中で最低とされます。自然科学の分野ではその傾向が特に強く、周りは男性だけと言うことも、度々です。
■広島大学大学院 先進理工系科学研究科助教 片山春菜さん
「あまり科学にジェンダーは関係あるとは思っていないので、科学を志す人が、男性でも女性でも、どのジェンダーでも平等に挑戦できるチャンスがあればいいと思う。」
片山助教の活躍は、女子学生の励みに
その姿勢は、女子学生にとっても大きな励みになっています。
■女子学生(2年生)
「女の人でも物理で活躍できるモデルになっている。分母が女性は少ないが、男女関係なく活躍できるところなんだと。」
■男子学生(2年生)
「自分も研究者になりたいと思っているので、片山先生の背中を追いながら頑張っていきたい。」
周囲の期待を集める片山さんにとって、科学とは?
■広島大学大学院 先進理工系科学研究科助教 片山春菜さん
「ひとことで言うとわくわくです。みんなが驚くような、新しい発見ができるような研究者になれたらと思う。」
試行錯誤を重ねた先に見える真実。26歳の若手研究者は、その入り口に立ったばかりです。
【テレビ派 2023年12月4日放送】