熊本地震の教訓も 県防災センターの内部「県民の命を守る要」を取材
(畑中香保里キャスター)
この「防災センター」は地上7階・地下1階建て。建物は熊本地震と同じ規模の地震にも耐えられる免震構造です。
防災に関わる約40人の職員の皆さんが職務にあたっています。
奥の部屋では災害にいつでも対応できるように24時間必ず誰かが待機しているんです。
職員の皆さんがいる場所の奥に広がっているのがオペレーションルーム。ここが「命を守る要」となります。
熊本地震を教訓に防災機能を以前の10階から2階に移しました。広さも2倍になったんです。
ここからは危機管理防災企画監渡部孝則さんとお伝えします。よろしくお願いします。
見渡すと…気象台・警察・消防など救助の要となる人が集まれる環境になっていますが、どんなことをする場所なんですか?
(渡部孝則さん)
命を守るいち早い救助のため関係機関の応援要請など部隊の調整を行う場所なんです!!
(畑中キャスター)
そして大きな画面。今回は特別に災害時を再現してもらっています。
河川カメラの映像で最大で県内60か所の川をリアルタイムで見ることができます。
中央の地図には災害が発生した場所に印がついていて被害状況が一目で分かります。
気象庁のキキクルを映し出し、「大雨による災害の危険度」を共有できるようになっているんです。
(渡部さん)
4年前の熊本豪雨のときは夜間に、予想外の大雨となり県でも職員を速やかに参集して態勢をとりましたが、避難情報の伝達や被害情報の収集が円滑にできなかった反省があります。
(畑中キャスター)
そういった教訓から熊本豪雨の翌年から熊本県が始めたのが、県内すべての45市町村と合同で行う全国でも例を見ない「全市町村参加型」の訓練です。
(渡部さん)
私達は自分たちが県民の生命を守るという強い責任感と、「最後の砦」であるという強い自覚を持ち業務に取り組んでいます。訓練でできないことは本番では絶対にできません。単に業務手順を理解するだけではなく、シナリオを隠して行う「ブラインド型」で限りなく実際の災害に近い状況で訓練を行っています。
(畑中キャスター)
訓練によって様々な機関との連携も強化され「命を守る素早い判断」につながっているんですね。
2階のオペレーションルームから1階に下りてきました。こちらには防災を学べる「展示・学習室」があり、一般開放されています。目を引くのがこちら。プロジェクションマッピングです。県内で発生する災害のメカニズムを分かりやすくリアルに解説しているものなんです。立体的で迫力があります、さらに進むと…熊本豪雨などの被害状況や教訓をまとめたパネルも並んでいます。
そして、避難のときに必要な持ち出し品の展示もあります。衛生用品や、携帯トイレ、ホイッスルなども大切ですよね。また、お薬手帳、常備薬、生理用品など自分が必要なものは自分で持っておくことも大切です。
このように県などの公的機関の支援「公助」に頼るのではなく、自分にできる「自助」近くの人達と助け合う「共助」も大切です。再び危機管理防災企画監の渡部さんです。梅雨も目前に迫っています。改めて県民の皆さんにメッセージをお願いします。
(渡部さん)
「うちは関係ない」ではなく、普段から避難などの備えをしていただきたいと思います。私たち防災センターで心にとめているのは「空振りはよくても、見逃しはダメ」ということです。「空振り」は立派な練習ですのでぜひ明るいうちに早めの避難をしていただきますようお願いします。