被告は三匹の子豚 兄のあだ討ちでオオカミを…殺人未遂か傷害か 裁判員裁判の模擬体験ツアー
「三匹の子豚」で裁判をより身近に!?熊本地裁で裁判員裁判の模擬体験ツアーが開かれました。
11月28日、熊本地裁で開かれていたのは…。
■検察官役
「被告人は、オオカミに煙突から家に入らせて鍋の中に落ちるように仕向けたが、オオカミを殺すことはできなかった。罪名及び罰条、殺人未遂罪」
検察官役を務めていたのは高校1年生。童話「三匹の子豚」を題材にした模擬裁判です。オオカミに対する殺人未遂の罪に問われている被告人「ブタ三郎」役は女性が務めました。
熊本地裁が裁判を身近に感じてもらおうと開いた体験ツアー。その目玉が「裁判員裁判」の模擬体験でした。
裁判を身近で分かりやすいものにしようと、2009年に始まった裁判員裁判。選挙権がある国民の中から、くじで選ばれた裁判員が、殺人や強盗致死傷などの重大な刑事事件を審理します。今年4月までの14年間に開かれたのは、全国で1万6000件以上。熊本では年に11件ほどのペースで実施されています。
■被害者・オオカミ役
「良心に従って真実を述べ何事も隠さず偽りを述べないことを誓います」
この裁判で被害者とされたオオカミ。起訴状によりますと、ブタ三郎被告は兄のあだを討つためオオカミを殺害しようと決意。挑発して煙突から家に入らせ、お湯を沸かした鍋に落とした殺人未遂の罪に問われています。
■裁判員役の男の子
「オオカミが煙突をよじ登っているのを、あなたは窓から見ていたんですか?」
セリフを読む形で進む模擬裁判ですが、判決には台本がありません。裁判の争点は、被告に殺意があったのかどうか。証拠や証言から「殺人未遂罪」か「傷害罪」のどちらに該当するのか判断し、刑の重さも決めなければなりません。
裁判官との評議で裁判員たちが出した結論は…。
(判決)「主文、懲役2年に処する」
ブタ三郎被告の犯行は傷害罪にあたるとして、懲役2年の判決を言い渡しました。
■検察役
「憧れている検察官になれたので良かった。初めての体験で楽しかったし、貴重な経験だった」
■被告・ブタ三郎役
「被疑者役で体験したのですが、判決の時に裁判長と目が合う。ぞわっとして、この場所に立つ機会がないといいなと思いました。もし裁判員の候補に上がったら、参加してみたいな」
初めて体験した裁判に、それぞれ手応えを感じたようです。