成長戦略で目指す「関係人口1000万人」 新田県政3年の現在地(2) 富山
エブリィは今週、シリーズで新田県政3年の現在地を考えます。
14日は、新田知事が県の成長戦略で目指している「関係人口1000万人」です。
新田知事
「ウェルビーイングの向上により、人材交流の活性化・人材の集積を図り、富山県成長戦略の取り組みを進め、関係人口1000万人を目指しております」
人口100万人割れが近づいている富山県。
地域社会を維持していくための一つの足がかりとなるのが関係人口です。
関係人口は、県外に住みながら、 富山県と関わりを持つ人のこと。推計では去年はおよそ350万人。
県の成長戦略では関係人口1000万人の創出を目指しています。
新田県政がその戦略の一つとしているのが「寿司」です。
県鮨商生活衛生同業組合 山下信夫理事長
「(富山は)ネタが全然違いますんで、僕はそういう意味では(他県に)勝つと思います。そういう自信もあります」
11月、県は新たなPR戦略として「寿司」と言えば、富山というイメージ付けを進めるプロジェクトを発表しました。
「すし」をきっかけに伝統文化や食文化、自然環境など、様々な魅力も知ってもらうのが狙いです。
トークイベントで新田知事
「すしを突破口に富山県の認知度向上を図っていこうということです」
「寿司」と言えば、富山とイメージする県外の人の割合を今後10年で90%にするという、壮大な目標を公表しました。
2023年10月の調査ではおよそ9%で、富山県は北海道、東京、石川に次いで4位でした。
経済を分析している専門家は。
北陸経済研究所 藤沢和弘担当部長
「寿司と言えば、富山」これはいかがですか「これはすごくいいやつだと思います。昔みたいにあれもあります、これもありますという状態ではなくて、世界に対して打って出ていこうと思ったら、本当に最強のものを一つブランディングしたほうが、やっぱり手っ取り早いというか」
一方、課題も指摘します。
藤沢担当部長
「コロナで非常にダメージを受ける業界だったので、それで足下減っているというのはある」
総務省の調査では県内のすし店は2016年の232店舗から2021年には193店に減っています。
県鮨商生活衛生同業組合 山下信夫理事長
「寿司屋さん自体は富山はちょっと少なくなってるんですよ。この『寿司と言えば、富山』を目当てに、すし職人を目指して見習いにきていただける子どもさんもいれば、うれしいなと思います」
ブランディングの参考になるのが「うどん県」として知られる香川県です。2011年、「うどん県」に改名するという県のPRが話題になりました。
香川県観光振興課・竹田謙介副主幹
「うどん県イコール香川県っていう認知度は、このプロジェクトで広まったのかな、効果があったのかなとは思っています」
県の担当者は「さぬきうどん」をきっかけに「食」や「アート」、「風景」などそのほかの魅力も発信できたと話します。
香川県観光振興課・竹田謙介副主幹
「観光事業者さんであったりとか、県内の旅行業者さんであったりとか、観光産業に関わっている方々にとっては、この『うどん県プロジェクト』っていうのは、すごく役に立つというか、誘客につながるようないろんな取り組みができるようになったことで良かったのかなとは思っています」
そしてこうしたブランディングでは様々な事業者が関われる仕組み作りが大事だと話します。
香川県は、「うどん県」のロゴやイラストを無料で提供できるようにしました。
香川県観光振興課・竹田謙介副主幹
「限界がありますよね、行政がするには。(民間企業に)『うどん県』というロゴを使っていただくことによって、その広がり方はもう圧倒的に違ったと思います」
関係人口では外国人観光客も大事な存在です。
とくに期待が集まるのがインフルエンサーともなる富裕層の訪日客です。
2023年8月、富山空港に小型ジェット機が到着しました。
降り立ったのは、中国で企業を経営する男性や富裕層向けクレジットカード会社の役員など。
アドバイスをしてもらうモニターツアーの一行です。
中国人経営者
「すごく美しくて、スペシャルな食事ばかり」
富山市岩瀬地区の町並みや食を堪能した後に訪れたのが富山県美術館です。
県は通常は行っていない貸し切りでの対応に応じました。
北陸経済研究所 藤沢和弘担当部長
「さっきお寿司と言えば富山と言ったけれど、富裕層ツーリズムといえば富山というようなイメージができてしまえば、それは一般の人だって来て、今まで5000円だったお寿司が1万円でも富山だからいいかなという形になってくれば底上げできるわけじゃないですか。やり方ですよ」
2024年は、北陸新幹線の敦賀延伸や黒部宇奈月キャニオンルートの一般開放が予定されていて、関係人口を増やすチャンスとなる年です。
新田知事
「リアル人口を下げない努力を続ける一方で、今後の成長を目指してですね、人材の交流を活性化していこう、それから人材の集積を図っていこう、そのようなことを行いまして、この関係人口増やしていくということを目指しています」
富山のファンを増やすことはできるのか。
そして今後、富山にどう関わっていってほしいのか、明確に打ち出していくことも必要です。
15日は「女性活躍」について考えます。