【観光】富山県の新年度予算案 世界から選ばれる富山へ戦略は
県の新年度予算案についてシリーズでお伝えしています。
最終日のきょうは観光政策についてです。
新田知事は「観光」を「ものづくり」と並ぶ重要な産業と捉え、新年度、訪日外国人の誘引強化に乗り出します。
海外から「選ばれる富山」となるために必要なこととは何か、県内の現状を取材しました。
外国人観光客 現状と課題
きのう午後7時ごろ。
富山市内のホテルに大きなスーツケースを持った海外からの団体客が到着しました。
「どこから来ましたか」「台湾」「初めて」
「刺身が美味しかった」
「(環水公園で)コーヒーを買って写真をたくさん撮ったとてもきれいだった」
こちらのホテルでは、個人・団体ともに外国人の宿泊客が増えているといいます。
■ANAクラウンプラザホテル富山・森口峻多さん
「コロナ前と比べましてインバウンドのお客様は昨年、2024年増えている傾向にあります」
今の時期、外国人の宿泊客は大型バス1台から2台分ですが、多いときは10台分を超えることもあるといいます。
観光庁によりますと県内の外国人宿泊者数は、去年の1~11月までで22万人あまりとコロナ禍前の3分の2まで回復しました。
一方で、隣の石川県では去年11月時点で、年間最多記録を更新。
コロナ禍前から2倍以上に増えた石川と比べ富山は後れを取っている状況です。
また、利用客の地域性に偏りがあると言います。
■森口さん
「富山にお越しのお客さまはアジアの方が非常に多い。その中でも台湾の方が半数以上を占めるような状況になっています。どうしてもアジアに比べると欧米の方は少ない」
富山は石川に比べアメリカやヨーロッパからの宿泊者の割合が低く、欧米での認知度向上に向けた取り組みが急務となっています。
今後の戦略と課題解決への取り組み
こうしたなか、海外からの観光客を呼び込むチャンスが訪れました。
■新田知事
「先般ニューヨーク・タイムズ2025年に行くべき52ヶ所に富山市が選定されたところであり、これを追い風として、北米市場については、私が自らニューヨークに赴き、トップセールスを実施しようと 考えております」
ニューヨーク・タイムズが発表した「今年行くべき52か所」。
世界各地の数ある旅行先の中から富山市が選ばれました。
おととし同様に取り上げられた岩手県盛岡市は多くの外国人観光客が訪れるなど反響があったといいます。
県はこのチャンスを捉えるため、新年度予算案に知事自らがアメリカでPRを行う事業やアメリカとフランスで富山の伝統工芸品などを売り込むイベントの費用を計上しました。
また、海外からの観光客に人気のある岐阜県の飛騨・高山地域との周遊を促し、観光客誘引にも取り組む考えです。
ニューヨーク・タイムズに記事が掲載されてからおよそ1か月半。
紹介された富山市ガラス美術館の今年の入館者は、能登半島地震の影響のないおととしと比べておよそ2倍に増加しました。
外国人が増えていて記事の影響もあるのではないかと見ています。
その一方で、紹介記事の影響がなかったところも。
富山駅北口からほど近いゲストハウスです。
■いるかホステル荒木まどかオーナー
「きょうは4、5人くらいですかねアルペンルートが閉まってからオープンするまでの11、12、1、2、3月はほとんどお客さん来ないって感じですね」
Qニューヨーク・タイムズ掲載の効果は
「全然影響ないですね。そんなに期待していなかったからいつも通りだなって感じですね」
現在、1日の宿泊者は3、4人程度。
そのうち外国人は一人いるかどうかだといいます。
■荒木オーナー
「2019年のコロナ前は半々だったんですけど去年と比べると日本人7割、外国人3割になったのでかなり割合は減っていますね」「台湾便、韓国便が休んでいることで韓国人、台湾人の数が目に見えて減っている。直行便が再開しない限りは難しいのかな」
ソウルと台北を結ぶ定期便は新型コロナなどの影響で現在、運休しています。
荒木さんは、富山に来てもらう最初の一歩は定期便の再開だとしたうえで、年間を通して楽しめる観光地づくりも必要だと話します。
「(宿泊に)来る方もアルペンルート行こうとして来てやってないよって言ったら え、っていう皆の目的がアルペンルート。通年で行ける特に自然が必要だと思います。自然の観光。美術館のためだけに県移動してくるかなって言ったら微妙じゃないですか特に外国人。アートは世界中にあるし」
県は冬場に宿泊者が減る傾向にあるとし、雨晴からの立山連峰や庄川の遊覧船、五箇山の雪化粧などをPRし、年間を通して観光客が訪れるようにしたいとしています。
ゲストハウスに滞在していた台湾出身のオウさんです。
5回目の来日で初めて富山を訪れたといいます。
県内では、ガラス美術館や富岩運河環水公園などを観光しました。
■オウさん
「(富山での)一番の場所は雨晴。海・山・電車がとても心地よかった」
Qまた富山に来たいですか
「また来て次はもっと多くの写真を撮りたい。今回は雪だったので本当にまた来たい」
新年度、観光に特化した専門局を初めて設けるなど、訪日外国人の誘引に本腰を入れる富山県。
ほかの観光地との競争が激しくなる中、「世界から選ばれる富山」となることができるのか。
「攻め」の1年が始まります。