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高岡法科大学募集停止 背景と影響は

2024年4月16日 19:28
高岡法科大学募集停止 背景と影響は

15日に突然発表された高岡法科大学の学生募集停止。その影響や背景について梅本記者の解説です。

上野)梅本さんは高岡法科大学の卒業生ですね。入学したのはいつ頃ですか。

梅本)大学が開学した1989年に入学しました。その年は200人の定員に対し入学者がおよそ3倍の570人で、ぎゅうぎゅう詰めの状態でした。県内で初めてとなる法学部の4年制大学で、就職にも有利という見方もあって、県内を中心に大学への期待値は高かったと言えます。

現在でも富山県内で法学部の4年制大学は、高岡法科大学だけです。県内の高校の関係者は進学先が減ることを危惧する一方、専門家は学生を確保しにくい状況が地方の私立大学で続いていると指摘します。

県立高校などの校長で作る県高等学校長協会の吉田学副会長は、生徒を送り出す側の高校にとっても今回の決定は残念だと話します。

富山県高等学校長協会  吉田学副会長
「県内の大学が1つ減るということになりますので それについてはとても残念に思っております」

これから進路を考える高校生たちの「選択肢」が狭まってしまうと話します。

富山県高等学校長協会  吉田学副会長
「いろんな進路先が選択できる、幅広く選択できることが非常に生徒にとっては大切なことだと思いますし、県内での進学先を考えていた生徒にとっては、今回の決定は少し残念だったかなと」

教育改革に詳しい北陸大学の山本啓一教授は、少子化が進む中、全国ではとくに地方の私立大学の経営が厳しいと話します。

北陸大学 山本啓一教授
「今全国の私立大学の50パーセント以上が定員割れを起こしているという状況なんですね。大きく言うと、18歳人口がどんどん減っているということがあります。もう1つは大学が増えているということ。首都圏の有名大学が定員を増やしていっている、新しい学部を作ったりしている。例えばデータサイエンス学部とか、そういった時代にあった学部を有名大学が作ると、ドンとそこに人が吸い寄せられていくということもあって、地方の大学からどんどん学生が流出していっているということがいえます」

また、山本教授は閉学による地元への影響を危惧しています。

北陸大学 山本啓一教授
「今まで高岡法科大学の卒業生が、結構地元に就職していたはずなんです。あるいは公務員の実績がかなり高かったので、人手不足、若者不足の中で高岡の企業を中心に、富山全体で数十名とはいえ人材不足の波が加速してしまう。特に高岡市の影響は大きいと思います」

上野)入学者の減少による経営の困難。その背景の1番はやはり少子化ということでしょうか。

梅本)こちらは全国の18歳の人口です。高岡法科大学が開校したのは1989年。1990年代の初めには200万人以上がいましたが、今年は106万人と半減しています。2040年にはおよそ82万人まで減少するという推計もあって、全国の大学は近年、学生を獲得するために工夫を凝らしています。

上野)高岡法科大学は、対策を打ってこなかったのでしょうか。

梅本)少人数による個別指導をしたり、公務員を志望する学生向けの専用講座を設けたりと、就職に向けたプログラムに取り組んできました。また、スポーツでは硬式野球部が大学野球の最高峰、全日本大学選手権に出場し、柔道部も活躍してきました。しかし若者の都会志向もあって、学生の需要をキャッチしていくことができず、高岡法科大学は25年前から定員割れが続いていました。

高岡法科大学 根田正樹学長
「大都会に憧れる生徒さんたちの気持ちを、地域に押しとどめるのはなかなか難しい」

この春の入学者が開学以来最少の37人となり、定員に対する充足率が50パーセントを下回りました。私立大学にとっては授業料に次ぐ収入源となる国からの補助金が交付されなくなり、閉学へと至りました。

少子化によって教育機関の統廃合は大学も例外ではなくなっています。今ある「学びの場」をどう維持させていくのかは、今後の重要な課題です。

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