教員の長時間労働 解消に向けて会見 過労死した教諭の遺族も出席
富山県教職員組合は13日、会見を開き、学校の教員の長時間労働の解消を訴えました。会見には、県内の中学校に勤めていて亡くなり、その後、過労死と認定された教員の遺族も出席しました。遺族は教員の時間外労働について運用が守られない場合の「罰則化」についても検討してほしいとしました。
県教職員組合は13日、文部科学大臣の諮問機関が教諭の処遇改善などの提言をまとめたことを受けて富山市で会見を開きました。会見は長時間労働の解消などに向けて開かれたもので、滑川市の中学校に勤め、2016年に42歳で死亡した男性教諭の妻も出席しました。
男性教諭は2019年に過労死と認定され、その後、遺族が県や市に損害賠償を求めた裁判ではおよそ8300万円の支払いを命じる判決が確定しました。
死亡した男性教諭の妻
「過労死と認められて6年が経過していますが、いまだに過労死ラインで働く方の数が減っていない。いまだにいらっしゃるということに驚きと憤りとむなしい気持ちになります」
県教職員組合などは、教員の長時間労働が教育力の低下を引き起こしているとしていて、その背景には「給特法」があると指摘しています。「給特法」は教員の時間外労働に関する法律で、時間外勤務手当や休日出勤手当を支払わない代わりにおよそ8時間分にあたる月給の4パーセントを教職調整額として支給しています。また時間外労働の上限は1か月あたり45時間、年間360時間として運用されています。
13日、文部科学大臣の諮問機関は「教職調整額」を10パーセントに引き上げることや、時間外労働については将来的に「月20時間程度」を目指すとしました。ただ、残業代を支払う制度への抜本的な改革は見送られていて、学校現場からは残業削減が進まないという懸念する声もあがっています。
県教職員組合は時間外労働について「工程が示されていない」など問題を指摘しています。運用に罰則がなく、県内の中学校では依然として時間外労働の月平均時間が45時間を超えています。
死亡した男性教諭の妻
「やはり罰則があるものに変えて、必ず順守されるものに変えていかなければいけないと思います。どうか働いている方ご自身の健康、ご家族の健康のために今一度教員の働き方について考えていただけないでしょうか」
2025年の通常国会に、関連する法律の改正案が提出される見込みです。