北アルプス最深部水晶岳 登山道の管理保全は 各地からの登山者らに数家解説委員がきく
登山道の維持や管理をテーマにお伝えしているシリーズ「山と人をつなぐ」です。
北アルプスの最深部水晶岳を目指しながら登山道について考えるとともに、山の魅力をお伝えしています。
初日は、登山口の折立を出発し、太郎兵衛平を越えて薬師沢小屋まででした。
2日目は、薬師沢小屋から大東新道を経由して温泉を楽しめる高天原山荘まで。
3日目は、高天原山荘から水晶岳を目指し、雲ノ平山荘に宿泊。翌日、登山口の折立まで下山する合わせて2日間です。
水晶岳に行く山旅の3日目、ようやく目指す水晶岳が全貌を現しました。
右手に高天原、左手には水晶岳を望みながら出発。
登山道の脇にある池からは…水面に映った、逆さ水晶。
数家解説委員
「標高2600メートル近くまでやってきました。見てください、薬師岳です。雄大な姿を見せています。そして、その横には、これから目指す水晶岳です。だいぶ近く感じられるようになってきました」
今回の山旅の3日目は、疲れが溜まり、歩くスピードが大幅ダウン。
数家
「酸素、薄い」
予定より遅れて水晶岳近くにある水晶小屋に到着。
ひと休みした後、山頂へ。
最後は、岩場をよじ登ります。
数家
「山頂です。水晶岳2986メートルです。ようやくたどり着きました。360度の大パノラマです。すごいや、これは!」
数家
「大阪ですか? お疲れさまです」
大阪からの登山者
「きょうは晴れてよかったです」
数家
「登山道は誰が維持・管理するか、誰が整備するか?」
大阪からの登山者
「山小屋の方ですよね。山小屋の方がある程度、整備してくれはると聞いたことがあるんですけど、違いました?」
8月から始まった協力金については。
大阪の登山者
「全然オッケー、全然オッケー!できれば5000円でもいいから取ってもらって、できればゴミを置かしてくれればなと」
雲ノ平山荘に到着したのは、午後5時半。
翌日、雲ノ平の朝。
登山道の維持・管理について聞いてみました。
神奈川の登山者
「有料化でもして、きっちり整備した方が、逆に安全に登山できるんだろうなあというふうに思いますね」
埼玉の登山者
「登山やる人が一部じゃないですか、だから関係ない人って、全然関係ないと思っちゃうから結局、(登山)やる人で頑張るしかないのかなと思いますよね」
東京の登山者
「登山者が参加できるプログラムというのがあったらいいかなと思ったりはするんですよ。そうすると、自分事として、その登山道の整備を捉えるようになるじゃないですか」
この雲ノ平山荘でも、2021年度からボランティアを募って、登山道などを整備するプログラムを始めていました。
伊藤二郎さん
「1つには山小屋だけで登山道管理や環境保全を担うのが限界であるという圧倒的な差し迫った現実があります」
伊藤さんは、今後の広がりに期待します。
伊藤二郎さん
「本当に公助を期待するにはあまりにも道が遠いので、まずは民間の方から雛形を見せるということですね。それをちゃんと具体的なモデルケースとしてそれを見た人たちが模倣することができるということをやっていくしかないというのが僕らの判断です」
北アルプスを含む中部山岳国立公園を訪れる登山者は、コロナ禍で減少しましたが年間600万人。
多くの登山者が訪れる一方、豊かな山岳環境をどのように活用し保全していくかが問われています。
伊藤二郎さん
「日本の国立公園の特徴はといえばですね、管理体制が非常に脆弱で、公助といわれる部分があまりにも弱いんですね。これに対して、登山者数は世界有数の登山者数を誇る。ですから、そこで遊ぶという文化は幅広く浸透したけど、それを保全して社会としてどう取り扱うのかという、そういう合意形成とかグランドビジョンがないですね」
登山道はもちろん、山岳地域全体のビジョンを見直すべき時期に来ています。
富山県が誇る山岳環境は、国内だけでなく、世界に誇るべきものです。
一方で、そこに至る登山道の維持・管理については課題が山積しています。
どのように克服して、持続的なものにしていくか、エブリィでは今後も取材を継続してお伝えしていきます。