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被告側の上告棄却 再審理へ 富山市の交番襲撃事件 被害者遺族「被告自身の言葉で話して」

2024年3月14日 19:41
被告側の上告棄却 再審理へ 富山市の交番襲撃事件 被害者遺族「被告自身の言葉で話して」

13日のエブリィでもお伝えしましたが、警察官ら2人が殺された富山市の交番襲撃事件で、最高裁判所は強盗殺人罪などに問われた被告側の上告を退けました。

富山地方裁判所で裁判員裁判が改めて開かれることになります。

被告の男は一審で黙秘を続けていて、被害者の遺族は「被告自身の言葉で話してほしい」とコメントを出しました。

二審の判決などによりますと、島津慧大被告(27)は2018年、富山市の奥田交番に押し入り、交番所長を刃物で殺害したうえ、奪った拳銃で警備員の中村信一さん(当時68)を射殺しました。

一審は2021年に開かれ、検察側が死刑を求めたことに対し富山地裁は「被告が警察官を殺害した後に拳銃を奪い取る意思が生じた可能性を排除できない」として強盗殺人罪の成立を認めず、殺人罪と窃盗罪を適用し無期懲役の判決を言い渡しました。

この判決を不服として検察と被告本人が控訴しました。

2022年の控訴審判決で、名古屋高等裁判所金沢支部は、「拳銃を奪うことを襲撃前から意図していたと考えるのが自然」と指摘。重大な事実誤認があるとして一審判決を破棄し、富山地裁に審理のやり直しを命じました。

この判決を不服として島津被告の弁護側が上告しましたが、最高裁は3月11日付で上告を棄却する決定をしました。

一審判決を破棄し、強盗殺人罪の成立を前提に審理を富山地裁に差し戻した二審判決が確定し、今後富山地裁で裁判員裁判が改めて行われます。

被告側の弁護団は取材に対し「上告棄却決定は極めて不当であり、到底是認できない」とコメントしました。

一方、中村さんの妻は13日夜、「裁判で島津被告が話すことを期待する」とのコメントを出しました。

島津被告は、一審では黙秘を続け、二審には出廷していません。

中村さんの妻(コメント)
「上告棄却を聞いて、島津本人がどういう思いで聞いたのかと、ふと思った。差し戻し審で期待することは、島津自身にやっぱり話をしてほしい。6年近く経って何かしらの心境の変化はあったのか。彼自身が自分の言葉で喋ってくれることを願っている」

最高裁が被告側の上告を棄却したことの意味について、元裁判官で刑事訴訟法に詳しい法政大学の水野智幸教授に聞きました。

法政大学 水野智幸教授
「拳銃が奪う奪う目的が最初の警察官の殺害後に生じたというところの認定が読んでいてもちょっと説得的ではなかったので、そこは『高裁の認定通りやれ』と、そのうえで強盗殺人罪の是非であるとか量刑判断を『一審の裁判員裁判でやってくださいと』ということを最高裁は言ったのだと思います」

今後開かれる差し戻しの裁判では、強盗殺人罪が成立する可能性が高まったとして無期懲役とした一審判決が変わる可能性があると指摘します。

法政大学 水野智幸教授
「最高裁が指示した高裁の判断が今度の富山地裁を縛る、法律上拘束するんですけど、また新たな証拠調べをすればまた一応違う見方もあるかもしれないので絶対とは言えないんですけど。今度は強盗殺人になりますと、やっぱり今の最高裁の基準に照らすと死刑ということもあり得る判断になる可能性はありますよね」

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