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「水が作れる…」珠洲市内の浄水場で初めての仮復旧 入居始まった仮設住宅に水を供給… 輪島市では…地震で傷ついた田畑に「少しでも実りを…」奥能登の伝統行事で祈る

2024年2月9日 20:30
「水が作れる…」珠洲市内の浄水場で初めての仮復旧 入居始まった仮設住宅に水を供給… 輪島市では…地震で傷ついた田畑に「少しでも実りを…」奥能登の伝統行事で祈る

9日、珠洲市内では仮設住宅への入居が始まりました。この仮設住宅に水を供給する浄水場の仮復旧を名古屋市の職員がサポート。一方で、輪島市では伝統行事「あえのこと」で“実り”を願います。各地の被災地の様子や、被災者の“思い”を取材しました。

■仮設住宅の入居始まる 今回は40世帯102人

入居が始まったのは珠洲市にある正院小学校のグラウンドに建設された仮設住宅です。

竹本栄一さん(85)は、これまで金沢市などで避難生活を送っていました。

珠洲市で被災 竹本栄一さん
「結構いいです。そろっている」

―避難所と比べてどうですか?
「いいですよ」

―どういうものを持ってきた?
「何にも持ってきていません。これから」

市内の自宅は全壊したという竹本さん。仮設住宅に入居した後、軽トラックを取りに自宅に戻りましたが…

竹本栄一さん
「ああ、やられているな…。こんなんなってもうた」「軽トラはダメですな」

竹本さんは大工で、自宅は自ら建てたといいます。きょうから仮設住宅での生活が始まりますが、いつか自宅を建て直したいと話していました。

入居が始まった仮設住宅には、冷蔵庫や洗濯機のほか、エアコンなどの暖房器具も備え付けられています。水はトイレや浴室だけではなく飲み水としても利用できます。

■浄水場の1つが仮復旧 給水車の水の提供 安定的に

この仮設住宅に水を供給しているのが、宝立浄水場です。

地震で川から水を取り込む管が破損するなどして、使えなくなっていましたが、8日、仮復旧しました。担当した名古屋市の職員は…

名古屋市上下水道局 池村康成さん
「珠洲市で水が作れなかったところに、仮設給水だけだが、作れるようになった。被害の状況に合った支援・災害派遣を継続的に行っていきたい」

これまで、市外から多くの水を運ぶ必要がありましたが、浄水場の仮復旧で給水車による水の提供がより安定的にできるようになるということです。

市内5か所の浄水場のうち、仮復旧したのは、ここ宝立浄水場が初めてです。

住居や水など、少しずつ進む復旧。

しかし、今回、仮設住宅に入居できるのは40世帯102人。およそ1700件の入居申し込みに対し、着工は6か所で456戸にとどまっているのが現状です。

市は「建設用地の確保を急ぎたい」としています。

■「あえのこと」伝統守る 実りと復興を願う

一方、輪島市三井町では、奥能登の伝統行事「あえのこと」が“いつもとは違った形”で行われました。

「あえのこと」は「田の神様」をもてなし1年の豊作と家内安全を願うものでユネスコの無形文化遺産にも登録されています。

三井公民館 小山栄 館長
「今まで欲張って豊作を願ってたけど、今年は田んぼも畑も少しでも実りがあってくれればそれで満足」

9日は、年末に家へと迎え入れた神様を田んぼに送り出す重要な日ですが、去年とは状況が異なります。

「電気来た?」「きてない」

毎年、行事が行われていた市内の施設が被災し、壁が剥がれたり家財道具が散乱したりする被害を受けたのです。

そこで今年は、「田の神様」にお風呂に入ってもらう儀式や料理を捧げる儀式は行わず、地震で傷ついた田畑に稲や野菜が実るよう祈って、神様を送り出しました。

三井公民館 小山栄 館長
「地震でいたんだ農地が神様のおかげで再生できることを願ってます」

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