「現美」とは? 石川・金沢で戦後から続く美術展 伝統を紡ぐ作家たちの思いを聞く
県内の美術・工芸作家らにとって特別な公募展である「現美」その意義などについて女性作家3人に聞きました。
先月下旬から開かれている今回の現代美術展。
石川を代表する総合美術展で、日本画、洋画、彫刻、工芸など6つの部門で合わせて1103点の作品が展示されています。
それぞれの作家にとって「現美」とは?長年、作品を出し続けている女性作家の3人に話を聞きました。
彫刻の松川美喜子さん:「毎年春には現美に出すのが私のルーティンみたいなもの」
工芸の四代徳田八十吉さん:「1回ちょっと病気をして出せなかったこともあったんですけど今は春の一番大切な公募展のひとつになっています」
日本画の古澤洋子さん:「そもそも石川県って文化レベルが高いところなのでそういった緊張の中で表現が磨かれていくかなって」
終戦からわずか2か月後に1回目が開かれた現美は今回まで80年、途切れることなく続いてきました。
工芸の四代徳田八十吉さんは当日、七尾市内にいて被災したといいます。
工芸の四代徳田八十吉さん:
「私は1月1日七尾和倉にいて命からがら(自宅のある)小松に帰ってきた。手を動かす、体を動かすのが一番の自分の…何というかメンテナンスと言うか・・無になるということで作品作りに取り掛かっていました」
また、彫刻の松川美喜子さんは…
彫刻の松川美喜子さん:
「凄く落ち込みましたね。いろんな情報が入ってくるとどんどんどんどん落ち込んでとにかく作品に向かうってことが落ち着けるのかなという感じがしました」
制作に集中することで心を落ち着かせたといいます。
そして、日本画の古澤さんは、急きょ、今回の地震を機に、能登をテーマとした絵を描き、出品することにしました。
日本画の古澤洋子さん:
「戦後2か月後にすでに開催されたというのが何度聞いても驚くんですけど、状況違うかも知れませんが傷ついた被災された方々の気持ちとか今の県内のムード、美術芸術で盛り上げようというのは口でいうのは簡単だけど実はすごく難しい事だとは思ってはいます。かといって私たち表現するものとしては前に歩み出すという姿勢を現美で示すことが大切なんだろうなという思いに改めて至っていたところです」
今回、大きな被害を受けた奥能登からも作品が寄せられました。そうした作品一つ一つに込められた作家たちの思いが現美の伝統を紡いでいきます。