8年間も“そのまま”のさくら野 EDENやアリオも…仙台の一等地でなぜ?専門家は
JR仙台駅前のEDENや、地下鉄・泉中央駅前のアリオ。
いずれも営業を終了して31日で1年が経つが、今後の見通しは発表されていない。
“一等地”ともいわれるこれらの場所がなぜ、そのままの状態となっているのだろうか。
JR仙台駅西口からすぐ、飲食店などで賑わったEDENは、12年あまりの営業に区切りを付けた。
竹中弘記者
「現在も重機が動いている様子が確認できますが、建物はすでに解体され、大部分が更地となっている様子が見て取れます」
関連会社がこの土地を所有するオリックスによると、すでに建物の解体は終了しているが、今後については「有益な活用方法を検討している」「新たな開発は未定」としている。
同じく、去年1月31日に閉店したのが、地下鉄泉中央駅からすぐそば、アリオ仙台泉。
元従業員
「寂しいですね。私はここでずっと働いていたから、10年間」
近くの病院に通う人
「これからまだまだ使える建物だから、いい方法で人を集めるものができればなと思いますけどね」
閉店から1年。
建物を所有する住友商事は「今後の活用は検討中」としている。
“一等地”と呼ばれる場所にある土地や建物が、営業しないままで残っている現状。
不動産の専門家はこれが仙台に限ったことではなく、全国各地で起きていると言う。
シーカーズプランニング 佐々木篤 代表
「今やはり非常に問題になっているのが、建築費が上昇しているということで、それに伴って収支計画だとかを見直しする、そういった必要が増えてきているというのはひとつの側面」
見通しが発表されていない物件はこのほかにも…
竹中弘記者
「JR仙台駅前の一等地に未だ残っている旧さくら野百貨店の建物には、このように囲いが設置されていまして、『建物防護対策工事』と表示されています」
約8年前に閉店した旧さくら野百貨店 仙台店に設置された白い仮囲いとネットは、解体工事のためではなく、老朽化によって外壁が落下する危険に備えたもの。
再開発を検討するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは、今後について「回答を控える」とコメントしている。
2024年2月29日(仙台フォーラス休業でのセレモニー)
「39年間、ありがとうございました」
一方、こちらは“ラス前”の愛称で待ち合わせ場所としても親しまれてきた仙台フォーラス。
老朽化した建物や設備の点検のため、去年3月から長期休業している。
運営するOPAによると、建物の検査はすでに終了していて、その検査結果を踏まえて「今後の方向性について検討している最中」だという。
このような現状について仙台市はどう見ているのか。
郡市長は“これから発展していくための転換期”と捉えているようだ。
郡和子仙台市長
「ビルの老朽化に対応して建て替えを選択されるところ等々あるのも事実なわけです。新たな生まれ変わりの時期というとずいぶん大ごとのように聞こえますけども、そういう時代にあるのは間違いのないことだと思っています」
専門家は仙台市の不動産市場に明るい兆しも感じているという。
シーカーズプランニング 佐々木篤 代表
「2024年の事業用不動産の取引も、ここ数年間の中でも相当活発、金額、件数ともに活発だった。仙台市は、東北最大の中核都市という位置づけであって、これからも期待されていると思います」
今後の見通しが不透明な“一等地”の商業施設が並ぶ一方で、明るい兆しがあるという仙台の不動産市場。
仙台市中心部の都市開発は今、ひとつの転換期を迎えているのかもしれない。
こちらが仙台市中心部の主な再開発の可能性のある場所(ミヤギテレビ調べ)。
先ほど紹介した旧さくら野百貨店仙台店やEDENに加えて、電力ビル一帯や藤崎本館の一帯も再開発が検討されている。
また、ダイエーから始まり来月で49年の歴史に幕を下ろすイオン仙台店が入るビルについて、読売新聞グループ本社広報部は、ミヤギテレビの取材に対し「ビルの再開発を検討しています。再開発する場合、現建物については解体することになるため、各テナントには、契約満了後の立ち退きをお願いしています」と回答している。