【特集】自民党・元参議院議員が語る政治とカネ問題「封筒の中には100万円の現金」これからの政治に提案することとは
自民党・元参議院議員 愛知治郎氏
「今回の改正では何の解決にもならない。堂々とオープンにすればいいオープンにできないということは後ろめたさがあるからできない」
自民党の参議院議員を3期18年務めた愛知治郎さんは自民党の派閥の裏金事件を受けて今年6月に成立した改正・政治資金規正法を批判した。
改正では、パーティー券購入者の公開基準を引き下げることなどが盛り込まれた。
しかし、ブラックボックスとも批判される政党が議員に支給する政策活動費については領収書を10年後に公開するものの、使い道をチェックする、第三者機関の制度設計などは先送りに。
野党からは批判が相次いだ。
岸田首相
「自民党が変わることを示す。最も分かりやすい最初の一歩は私が身を引くことであります。私はきたる総裁選には出馬いたしません」
先月、岸田首相は「裏金事件に対する責任」を総裁選に出馬しない理由の一つに挙げた。
国民が政治とカネの問題に厳しい目を向ける中、新たな総裁がどう取り組むのか注目する必要がある。
自民党・元参議院議員 愛知治郎氏
「派閥のノルマ、パーティー券のノルマというのは聞いてました。やったことはないですけど、そのノルマを達成した分派閥に貢献してそれを餅代、氷代としてもらう行って帰っての話で意味があるのかというのを聞いたことはあります」
愛知さんも現職時代、政治とカネを巡る出来事に直面したと証言。
それは自身も出馬した2019年参議院選挙。
激励に訪れた当時の自民党本部の役員が、愛知さんの陣営の幹部に封筒を手渡したという。
自民党・元参議院議員 愛知治郎氏
「資料をいただいたと思っていたのを確認したら違うと。これはお金じゃないか、現金じゃないかということで私に電話をかけてきた」
封筒の中には100万円の現金が入っていたという。
政党から候補者にカネを渡すこと自体は、政治資金収支報告書に記載すれば法律上問題はない。
愛知さんは「選挙の陣中見舞い」として100万円を受け取り収支報告書に記載した。
自民党・元参議院議員 愛知治郎氏
「基本的には党のお金だと思うけど、明確に私は関与したことがないのでよく分からないというのが正直なところ」
こちらは2022年の自民党の政治資金収支報告書。
使途を公開する必要のない「政策活動費」が政党幹部らに14億円あまり支出されていて、候補者に渡される選挙の陣中見舞いなどにも使われているとみられている。
愛知さんは政党幹部が巨額の資金を握り各議員に分配することで権力が集中する構造となっていると指摘する。
自民党・元参議院議員 愛知治郎氏
「政党に縛られたり親分に縛られているおかげで主張すべきことが主張できなくなっている。今回の件も若手がもっと大騒ぎをして改革するんだと声をあげてしかるべきだと思うが、さっぱり聞こえてこない」
政治資金規正法や政党交付金制度は、1988年に発覚した政治家の汚職事件・リクルート事件を機に1994年に成立、施行された。
目指したのはクリーンな政治。
しかし政治資金の不透明さは解消されることはなく、結果、今回の裏金事件は防げなかった。
愛知さんは政治資金は1円から公開し、会計は専任の公務員が行うべきと提案する。
自民党・元参議院議員 愛知治郎氏
「私は公務員にやってもらうのが一番いい、いろんな役所から連れて総務省の人でもいい1人で5人くらいの政治家見れますから、会計責任者を客観的な立場の公務員にやらせちゃえばそれでいい」
27日投開票が行われる自民党総裁選。
国民が政治とカネの問題に厳しい目を向ける中、新たな総裁がどう取り組むのか注目する必要がある。