【仙台市】パートナーシップ制度 当事者の思いと課題は? <誰もが暮らしやすい社会へ>
小野寺真さん
「今は戸籍上も男性として生活しています物心ついた時から性別に違和感がありまして、無意識な差別で心を壊したり、消えてしまいたいなと子どものころ思っていました」
今月、石巻市で性的マイノリティについて講演した小野寺真さん(46)。性別適合手術を受け、戸籍上男性として生きるトランスジェンダーだ。
青葉区でヘアサロンを経営する小野寺さんは、市民団体「にじいろCANVAS」の共同代表として、性的マイノリティについての理解を広める活動を行っている。
物心がついた頃から自分の性へと違和感を感じ、27歳でカミングアウトするまではふさぎ込む日々が続いていたという。
小野寺真さん
「区役所などに行った時に、なかなか自分の性別を伝えて制度を使うときに1つ1つ自分がこういう人間なんだということを伝えないと使えないことがあったので、そういうのは生活の中で苦しかったことがある」
この日、お店に訪れていたのは小野寺さんと同じくトランスジェンダーの佐藤泰美さん。
佐藤さんは現状のままでは、“いざという時”にこそ困難があると言う。
佐藤泰美
「災害があった時に性的マイノリティはちょっと取り残されてしまうことがある。普通のルールやマニュアルの中にうまく組みこめない」
例えば、制度が無ければパートナーが家族とされずに安否情報が得られなかったり、災害公営住宅にも入ることができず、孤立しやすい現状があった。
小野寺真さん
「例えば子供がいたら子供の為につかえる制度だったり、例えば大切なパートナーが体調を崩したら一緒に病院に行って一緒に話を聞けるような制度だったり皆さんがいま実際につかっているようなことを同じように使わせてもらいたいだけなんです」
パートナーシップ制度は法律のように全国で一律のものではなく、導入する自治体がそれぞれ独自にルールを決めるもの。
すでに導入されている例として、
・パートナーが病院での診断説明を受けられる
・生命保険などの契約で家族と同じようにみなされるなど、これまで認められなかったことが大きく変わる。
ルールがそれぞれ違うだけに、同性婚などを研究する専門家はどれだけ当事者の声を組み込めるかが重要だと指摘する。
京都産業大学 渡邉教授
「地方自治体がどのような利益を同性カップルに認めるのかJむしろパートナーシップ制度は法的な効果がないのでそれをどのように使うのかというのは自治体に委ねられている」
2015年の渋谷区と世田谷区を皮切りに、パートナーシップ制度を導入する自治体は全国で300を超えています。
政令指定都市でも最後の導入となる仙台市ですが、だからこそ、渡邉教授は一歩先を見据えた制度にすべきと指摘します。
京都産業大学 渡邉教授
「各自治体の連携というのが最近は進んでいる。例えば仙台市でパートナーシップ宣誓した後に栗原市に持って行った際に同じ制度と言えるのか、別の自治体が定めているのでそれぞれの自治体がどのように連携していくのか」
民間の調査会社によると、いま、日本では10人に1人が性的マイノリティという報告がある。
小野寺さんは踏み出した一歩を止めないでほしいと訴えます。
小野寺真さん
「パートナーシップ制度に対してはJ0から1にスタートさせることはすごく大事なんですけど、1を2、2を3にするアップデートしていくとこともやっていってもらいたい」