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“復興への思い” 被災地に届け! 障がい福祉事業所がオリジナルグッズ制作で能登支援《長崎》

2025年3月15日 7:00
“復興への思い” 被災地に届け! 障がい福祉事業所がオリジナルグッズ制作で能登支援《長崎》

発生から1年あまりがたった能登半島地震。

県内の障がい福祉事業所が、被災地の風景をモチーフにしたオリジナルグッズを作りました。

“復興への思い” を被災地に届けます。

◆デザインされたのは「能登の日常の風景」

描かれているのは、海沿いを走る列車。

伝統の祭り、天然記念物の無人島も。

独特の視点で生み出された鮮やかな色彩で魅了します。

(=vote 山内 理央さん)
「能登の風景をデザインしたカードケースになっています」

“石川・能登半島” の日常の風景を切り取ったカードケース。

東彼杵町のセレクトショップ「=vote(イコールボート)」で、先月から販売が始まりました。


(=vote 山内 理央さん)
「ここに訪れたことがあると思い出を話してくださる方もいらっしゃる。
“能登について”、考えるきっかけを作れているのかなと実感している」

◆障害のあるなしに関わらず 一緒にいいものを

手がけたのは、佐世保市の障がい福祉事業所「ミナトマチファクトリー」。

障害がある人の雇用創出を目指し、2011年に開所しました。

現在は障害のある人など、約50人が商品のデザインや縫製などに取り組んでいます。


(ミナトマチファクトリー 坂井 佳代さん)
「障害のあるなしに関わらず、一緒にいいものを作っていく形を大切にしている。
デザインから納品までの仕事を、一貫して社内でやっている」


カードケースの製作は、能登半島の鉄道会社「のと鉄道」が協力。

(ミナトマチファクトリー 坂井 佳代さん)
「何かしら私たちでも(支援を)できることがないか考えていた時に、
“のと鉄道” とつなげてもらった。


写真とかもありますけど、
イラストだともっと温かくなるもので…というカタチで(作ることになった)」

デザインのもとになったのは、のと鉄道の職員らが撮影した “走行する列車” や、
“能登の春を彩る祭り” などの写真。

事業所に通う3人のイラストレーターがデッサンし、色付けしました。

絵柄は両面にプリントされていて、全部で5種類あります。

(のと鉄道列車 客室乗務員 坂本 藍さん)
「私の写真とコラボレーションするんだという嬉しさと驚きがあった。
色彩が本当に鮮やかでやさしさがあふれている。やさしさを閉じ込めてくれるんだという新しい作品を見ることができてうれしい」

◆能登の現状…1年以上たった今も復旧続く

去年の元日に発生した、能登地方を震源とするマグニチュード7.6の地震。

災害関連死を含めて500人以上が犠牲に。

住宅の被害は11万棟を超え、1年以上たった今でも、復旧作業が続いています。

七尾駅から穴水駅までの30キロ以上を結ぶ「のと鉄道」。


地震の影響で線路がゆがんだほか、
駅のホームが沈下するなど甚大な被害を受け、全線の復旧まで3か月以上かかりました。


(のと鉄道列車 客室乗務員 坂本 藍さん)
「沿線を走る観光列車の中での出来事だったので、笑顔が一変して恐怖に変わってしまった。列車の揺れも本当にひどかった」

◆復興に向けての思いはひとつ

“復興への思いや願い” をカタチにして届けたい。

デザインを担当した3人は、去年10月から制作を始めました。

その1人、佐世保市の山﨑 賢治さん 47歳。

20代のころ精神疾患を発症し、ミナトマチファクトリーには10年ほど前から通っています。

(ミナトマチファクトリー イラストレーター 山﨑 賢治さん)
「単調にならないように、赤をアクセントに入れた。」

沿線を走る列車とコスモスの写真をもとに、ペンでデッサンして水彩絵の具で色付けしました。

優しいタッチで陰影をつけて仕上げています。

(イラストレーター 山﨑 賢治さん)
「手に取ってもらった時に、のと鉄道というのがあるんだ、こういう風景があるのだと、知ってもらうとすごく描いた方としてもうれしい」

デザインを耐久性のある生地にプリントした後は…。

ミシンを使って、縫い合わせます。

施設の通所者が、全ての工程を手作りしたカードケース。

届けたいのは、“福祉のものづくりの力” です。

(ミナトマチファクトリー 坂井 佳代さん)
「福祉のものづくりは、多岐にわたっていろんな分野で出てきているが、私たちができるしっかりとしたクオリティで出せるのが強みと思っているので、活躍していきたい」

カードケースは「のと鉄道」の穴水駅に併設されている道の駅で、去年12月から販売をスタート。

能登鉄道の坂本さんと、オンラインを通じて情報交換もしました。

(のと鉄道列車 客室乗務員 坂本 藍さん)
「評判がいいと、店の人たちから聞いています。制作時間はどのくらいかかるんですか」

(イラストレーター 山﨑 賢治さん)
「2日から3日(かかった)。集中して転写ペンで書いて、それを水彩で色をつけました」

最初に用意した50個は、3週間ほどで売り切れに。

現在、再販していている状態です。

(イラストレーター 山﨑 賢治さん)
「能登の人は温かい人が多いという印象を受けた。復興に向けての思いはひとつだと感じた」

(のと鉄道列車 客室乗務員 坂本 藍さん)
「前進している様子をすぐ見ることができるので、未来を届ける乗り物に変わっていくのでは」

復興への歩みを進める被災地。

福祉の力で、“支援” をカタチにする取り組みはこれからも続いていきます。

カードケースをスタジオに持ってきました。なめらかな生地で触り心地がいいですね。

サクラと列車のデザインは春らしく、新生活を迎える方にも重宝しそうです。

県内では、東彼杵町のセレクトショップ「=vote(イコールボート)」で販売されています。

最終更新日:2025年3月15日 7:00
    長崎国際テレビのニュース