「うれしい それだけでも」12月1日から被爆者と同等 被爆体験者 “新たな医療費助成制度” 開始《長崎》
国が定める被爆地域の外で原爆にあった「被爆体験者」への新たな医療費助成制度が、今月から始まりました。
申請手続きが始まった長崎市役所では、被爆者としての認定を求め続ける「被爆体験者」の複雑な思いが聞かれました。
(受付窓口)
「被爆者の方と同じ、同等の治療ができますよ」
今月1日からの新たな医療費助成制度の開始に伴い、初めての開庁日となった2日、長崎市役所の窓口には、手続きに訪れる被爆体験者の姿がありました。
被爆体験者の救済をめぐっては、一部を被爆者と認める長崎地裁の判決が出されました。
今年9月には、岸田文雄前総理が医療費の助成対象を「被爆体験者」全員に拡大すると表明。
これに伴い「精神疾患の発症」という要件が撤廃され、脳血管障害や循環機能障害など11種類の病気の診断があれば医療費が助成されることに。
また、がんへの助成は胃がんや大腸がんなど7つに限られていましたがすべての種類が対象となります。
(被爆体験者)
「うれしい それ(助成拡充)だけでも」
午前9時過ぎに来庁した87歳の女性。
爆心地から約10.5キロの深堀地区で原爆に遭った被爆体験者です。
(被爆体験者)
「よくわからないから、ここで聞いて書いて。役所に来て聞いて手続きするのが、一番安全だと思って。私は遠いので」
窓口で説明を聞き、新制度について評価しつつも、“複雑な胸の内” を明かしました
(被爆体験者)
「深堀は(被爆地域として)認めてくれない。
悲しい目に遭ってきたのだから、体験した人はみんな被爆者として認めないといけない」
対象者には、早ければ今月下旬に医療の給付を受けるための受給者証が交付されるということです。