全てのJA系スーパーが閉店した鳥取県 中山間地域における買い物環境の維持に向け新たな動き…その課題とは?
全てのJA系スーパーが閉店した鳥取県。そんな中、買い物環境の維持が求められるのが、中山間地域。宅配サービスや新規店舗の出店など、新たな動きも出始めています。
鳥取県八頭町の集会所に届けられたのは、お茶や弁当など。鳥取市に本社があるIT企業・アクシスが今年4月から宅配サービスを行っています。「トリスト」と呼ばれるサービスで、インターネットで注文した商品を希望の場所まで届けてくれます。
利用者
「よう出ませんしな、足がないし。不便ですが、年っとたらなかなかな。それでこれいいなと思ってさせてもらったわけです」
この取り組みを始めた理由、それは、JA系スーパーの相次ぐ閉店です。
鳥取県東部で9店舗を展開していたトスクは、2023年9月に全店が閉店。活用が検討されていた中で、鳥取県若桜町と智頭町の2店舗は、鳥取市に本社があるスーパーの「エスマート」が運営を引き継ぎました。ただ鳥取県八頭町の「ふなおか店」は、現在も活用方法を検討しています。そこで、この会社が鳥取県八頭町の船岡地域で宅配サービスを始めました。
インターネットの注文が不慣れな人には、事前に紙に書いてきた希望の商品を担当者が代わりに注文してくれます。また、チラシなどを一緒に見ながら注文することも可能です。
現在、このサービスの登録者は、八頭町内で99人(5月17日時点)。町内にあるスーパー「サンマート」と「ジュンテンドー」の2店舗の商品が購入できます。配送料は330円で、当日の配送も可能です。(午後3時までに注文)
利用者
「これから高齢化も進んでくるので、とても将来的に向けて一つの画期的なシステムかなと感じます」
一方で課題もー。
アクシス ソーシャルプラットフォーム部 濱田天海さん
「現状としてはまだ配送員が1名しかいないというところがあるので、町内の雇用をつくるためにも配送員の方をまだまだ募集していきたいと思っております」
今後は、配送員の増員も視野に事業の継続を目指していきます。
また、同じ八頭町内にあった丹比店。現在は更地になっていますが、コンビニエンスストア・ローソンの出店が決まりました。鳥取県東部でコンビニを運営する「瀬戸商店」が出店。スーパーの「エスマート」から野菜や肉などの生鮮食品を仕入れるめずらしい取り組みです。11月上旬のオープンを目指します。
八頭町も出店を支援するため、5月15日の臨時議会で土地の購入と店舗建設にかかる費用の補助金4250万円を可決しました。
瀬戸商店の瀬戸和由社長は、「住民の要望に応え、買い物をしてもらい、末永く続く店舗にしていきたい」とコメントしています。
買い物環境の維持が求められる中山間地域。新たなサービスなどによって、地域の衰退を食い止めようとする取り組みも進んでいます。