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【読み解く】“消滅可能性自治体”の発表で改めて考える 山陰の現状&脱却のポイントは?

2024年5月26日 7:12
【読み解く】“消滅可能性自治体”の発表で改めて考える 山陰の現状&脱却のポイントは?

気になる話題を取り上げる「読み解く」のコーナーです。今回のテーマは、4月に発表された「消滅可能性自治体」。そもそもどういった定義なのか、見ていきます。

■“消滅可能性自治体” 定義は?

「消滅可能性自治体」は、民間の有識者で作る「人口戦略会議」が分析・発表したものです。20代~30代の女性の人口が、2050年までの30年間に半分以下に減る予想の自治体を「消滅可能性あり」としました。該当するのは、全国の自治体のうち4割に当たる744か所。山陰では12市町です。

逆に、減少率が20%未満の所を「自立持続可能性自治体」とし、全国に65自治体。山陰では、鳥取県日吉津村のみです。

10年前にも、「日本創生会議」が同じように「消滅可能性」のある自治体を発表していて、今回は第2弾でもあります。

■ 島根県の現状 10年前より大幅改善

地図の赤色が「消滅可能性自治体」とされているもので、島根県内では4か所。青色が、前回は消滅可能性ありとされていましたが、今回は脱却することができた自治体で、12か所あります。この結果を、島根県の丸山知事はどのように捉えているのでしょうか。4月下旬の記者会見で「消滅可能性自治体」について聞かれた、丸山知事はー。

島根県 丸山達也 知事
「出生率がほぼ(全国)5位以内には入っているわけですから、その積み重ねが今回の結果に出ているんだろうと思いますけど、それでも人口は減るので。日本全体の悪くなり方よりも悪くならないということで満足せずに、(出生率)2.07を目指していく」

島根県の基本計画で目標としている出生率2.07を、引き続き目指すとした上で。

島根県 丸山達也 知事
「都道府県単位で言えば、東京以外は全部減るわけでしょう。つまりは国の問題だということです。日本全体の問題を自治体の問題であるかのようにすり替えて言われているのが、根本的に間違っている」

人口減少は国全体の課題であるため、自治体単位で捉える問題ではないと述べました。

■鳥取県の現状 自治体ごとに差が

一方、鳥取県。日吉津村が「自立持続可能性自治体」。8つの町が消滅可能性ありとされたのに対し、5つの町が今回脱却しました。脱却の理由を探すため、琴浦町で話を聞きました。

◇ ◇ ◇

鳥取県琴浦町といえば、「住みたい田舎」2年連続第1位の自治体です。東京の出版社が毎年発表しているランキングで、去年と今年「人口1万人以上の町」部門総合1位に選ばれました。この結果に、町の担当者はー。

琴浦町役場 移住定住推進室 浜川 明 室長
「住民団体さんとの連携が評価されての今回1位だったということで、住民の皆さんの活動に注目していただけたところも、大変うれしく思っています」

その住民団体のひとつが「ポレポレな暮らし」。民間のボランティアサークルで、地元の若者や移住者、地域おこし協力隊員が参加しています。「ポレポレ」とは、スワヒリ語で「ゆったり、のんびり」という意味。移住者が持つ不安などを気軽に相談できる団体です。琴浦町では、こうした団体と連携しながら移住・定住促進に力を入れていて、例えば移住者に対する住宅補助としては最大200万円を支給しています。

コロナ禍を機に、空き家を紹介するホームページも充実。360度カメラを導入し、現地に行かなくてもあらゆる角度から物件の様子を見ることができます。

こうした取り組みが実を結び、鳥取県琴浦町では、20代~40代の子育て世代の移住者が増加。移住者全体の80%を占めています。今後は、地域おこし協力隊の採用方法を見直すなど、関係人口の増加に力を入れる予定です。

琴浦町役場 移住定住推進室 浜川 明 室長
「今住んでおられる方が、住み続けたいという気持ちを醸成していくような施策も打っていきたいと考えています。そこに住む人だけでなく、琴浦町の周辺の方にも協力していただきながら、町づくりを進めていきたいと考えています。」

◇ ◇ ◇

一言で『人口減少対策』といっても、様々なアプローチがあります。各自治体の取り組みだけでなく、国全体の政策も求められます。今回の発表を機に、よりよい社会へ変わっていけばと思います。

    日本海テレビのニュース