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入学者数減で全国的に募集停止つづく短期大学…存続の危機打開へ!「今治明徳短大」特命教師の奮闘

2023年11月9日 18:55
入学者数減で全国的に募集停止つづく短期大学…存続の危機打開へ!「今治明徳短大」特命教師の奮闘
今治明徳短期大学

全国にある大学の数は、右肩上がりの傾向にある一方で、短期大学の数は1996年の598校をピークに下がり続け、27年で半減しています。

愛媛県内でも存続の危機に直面している短期大学があります。入学者数増加のミッションを命ぜられた特命教師に密着。すると、地域に根付いた学校の形が見えてきました

10月28日、4年ぶりの学生祭が行われた今治明徳短期大学です。この日は学生祭と合わせてオープンキャンパスも開かれていました。

今治明徳短期大学には保育士や幼稚園教諭、栄養士などを育成する2学科4コースがあり、東予唯一の短期大学です。

今治明徳短期大学 泉 浩徳学長:
「4年制大学と専門学校の両極端で、短大は非常に厳しい。全国的には厳しい状況なので短大の募集停止が全国的に多くなっている。本学も非常に厳しい」

少子化や4年生大学への進学希望者増で…入学者数は3分の1以下に

こちらは、今治明徳短期大学の過去10年の入学者数の推移です。学科やコースを再編しながらも2017年には163人いた入学者は、2023年春には46人と、この7年で3分の1以下に。少子化や若い世代の都市部への流出などの影響に加え、4年制大学への進学希望者の増加などが背景にあるといいます。

泉学長:
「改革をしないといけない。新しいことをやっていこうと取り組みをしている」

訪問した高校は80校以上!授業の合間に学生確保に奔走する「ケイボン先生」

存続の岐路に立つ中で、“学生確保”という重大ミッションを担うのが…

Q.特徴のあるTシャツを着てますね。
大成先生:
「そうなんですよ、スーパーもこれで!歩く広告塔です」

明短の“歩く広告塔”大成経凡先生です。

「ケイボン先生」とも呼ばれる地域史研究家で、明短では講師としてフィールドワークをしながら今治の歴史などを教えています。

泉学長:
「いまばり博士検定を作った人なので、地域の顔でいろんなところと繋がっている。この顔でなんとか入試の方も頑張ってもらいたいなと」

ケイボン先生、今年、入試広報委員長に任命されたのです。

大成先生:
「今、大体これ位来るかなという数字はあるが、まだ足りない。特に幼児教育学科が」

10月下旬、ケイボン先生の姿は松山市内の高校にありました。

大成先生:
「貴校の3年生で一人男性なんですが、うちの調理コースと栄養コースを興味を示してくれているがどんなでしょう?」
済美高校 青野進学課長:
「オープンキャンパスに参加してみてそれを材料に検討したいと」

高校に直接訪問して、進路担当の先生に3年生の進路状況を聞いていきます。

大成先生:
「前回オープンキャンパスに来ようとしていたけど、キャンセルして来なかった子。この子はもう違うところに?」
青野進学課長:
「そうですね」
大成先生:
「あららら…」

教員というよりも、まるで営業マン。自分が受け持つ授業の合間など、時間が空けば、学校訪問へ!訪問した高校は、5か月間で県内外80校以上。中には、複数回、足を運ぶ高校もあるといいます。

大成先生:
「今のままでは民間会社でいえば 倒産。私たちの学校の背景には今治の地域・社会があって、企業や福祉施設、病院がある。そこにいい人材を送り込まなければならないという使命感もある」

この日は、西条市の丹原高校へ。

百聞は一見に如かず!ということで、幼児教育学科の先生が1・2年生に明短の授業を体験してもらいます。今回は、自然をテーマにしたコミュニケーションゲームが行われました。

大成先生:
「種まきです。ここでしっかりしておかないと、この子達が3年生になるスタートの段階でうちの短大が出てこない」

短大の存続へ、めいたん、命がけです。

「まさに背水の陣」今治市内の高校生は“入学金免除”のほかユニークな支援制度も

大成先生:
「去年より踏み込んでいます。今治の子どもたち、今治の高校に通う子どもたちは入学金0円」

他にも、一人暮らしを始める学生には10万円の支給や、家族に卒業生がいる場合には3万円支給など、ユニークな支援制度があります。

Q.生徒数が減る中で、これだけお金を出すのって結構リスクがあるのでは?
「あります!だから去年よりたくさんこなければ意味がないということです。まさに背水の陣ですよ。それでもう後戻りできないんだという覚悟で今動いてる」

地域の幼児教育現場とも連携深め 子育て環境を支える大きな存在に

ここまでして、短期大学を存続し続ける理由とは…

今治市内の認定こども園です。

保育士:
「ストローとどんぐりで簡単に作れるやりを」
Q.この遊びが今治明徳短大の提案?
「はい。遊びをこっちで取り入れさせてもらって」

この「やりどん」、秋の自然を感じながら楽しめる遊びをと、幼児教育学科の教員がこども園に提案しました。

遊び以外にも、幼児教育の現場では保護者の働き方や子どもとの向き合い方が時代とともに変化している中で、最新の幼児教育に対応することが求められています。

はしはま こがく認定こども園 正岡瑞芳副園長:
「普通の保育をしながら研修のため職員を分けないといけないので、研修が今治だと人数も多く行きやすいですし、距離的なものとか時間的な制約が少ないのでとても助かる」

市内の保育士や幼稚園教諭を対象に研修を行っている明短。地域の子育て環境を支える大きな存在になっていました。

さらに、保護者にとっても。

短大の敷地内に設置された「めいたんキッズファーム」。農園では、子どもたちが野菜を収穫したり土遊びをしたりしながら子どもたちが遊ぶことができます。

学生にとっては学びの場。子どもたちにとっては遊びの場。

保護者:
「なかなか一人だとできないので、野菜とか畑でこういう体験ができるのもこういう場所ならではなのでありがたい。楽しい」

保護者:
「先生とか友達、ほかのママとか困ったときは、例えば耳鼻科どこに行ってる?とか聞くことができる」

“地域に根ざして働く専門職の養成”という重要な役割を担って

今治明徳短期大学 泉学長:
「おそらくこんなに地域住民と連携してやっている短大そんなにないです。保育士も介護福祉士も不足している、栄養士もなり手がいない状況。専門職を養成するというのはとても重要な役割だと思う」

暮らしに身近な専門職を養成しながら、地元に就職してもらい、地元の人として暮らしてもらう。人口減少が進む中で、地方にとって短期大学が生き残る意義でもあります。

そのためには、学生に“今治”をより好きになってもらうことも大切です。

カメラを片手に学生が向かったのは村上海賊の城跡のある能島。

課外活動として、今治の魅力を30秒の動画にしてSNSなどで発信するというのです。

大成先生:
「2年という中で何ができるのか。資格とることに一生懸命実習もあって忙しい。そういう中で授業とか課外活動で、少しでも地域に触れ合う機会というのを作ってあげて、社会人として地域に出て行って社会貢献できる子になってほしい」

幼児教育科2年:
「自分のもともと住んでいた身近なところに、こんなに深い歴史があるんだと思ってすごく勉強になる」

幼児教育科2年:
「私今治の人じゃなくて違うところなんですけど、今治ってこんなにいいところがあるんだって(短大に来て)結構実践的な授業が多くて、経験を積んで学ぶところが良かった」

明短だからこそ学べること、感じられることを…地域に欠かせない大学として生き残りをかけます。

大成先生:
「今治のポテンシャルは高い。これをコツコツとうまく生かしながら連携してやっていっていたら、必ず道は開けるんだという思いがあります。最後の最後まで諦めずに頑張りたい」

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