土砂崩れと松山城「緊急車両道」工事の関連性は?道路の“異変”が土砂崩れの前兆か
今回発生した土砂崩れについては、土砂崩れが起きた場所の頂上付近にある「緊急車両道路」の工事との関連について注目されています。
「緊急車両道路」というのは、緊急時に救急車などが天守閣に乗り入れできるようにと6年前に整備された道路です。ブルーシートがかけられているこの部分が、道路の一部にあたるのですが…こちらでは、土砂崩れの前に道路のひび割れなどが確認されたため、今月1日から工事が行われていました。
この工事と、土砂崩れの「因果関係の有無」について、きょう、委員会のメンバーで愛媛大学工学部の森脇教授は次のように話しました。
森脇亮教授:
「工事そのものが影響してたかと言われると、それはないんじゃないかと私は思ってますけども、ただ緊急車両用の道路の変状が見られたことは、前兆現象として捉えられるものであったのではと思ってます。そこがどこまで影響を及ぼすかというところに関しては予測は難しかったのかもしれないなと思ってます」
(スタジオ)
‟道路の変状”とは?
松山市によると、この緊急車両道路では、道路が完成した年の西日本豪雨で路面にひび割れが。
そして去年7月の大雨で、詳細な場所や範囲は不明ということですが、路肩の法面部分の崩壊が確認され、市は文化庁への申請や測量などを経て道路の改良工事を始める準備を進めていました。
また今月1日には、道路の路面が大きくひび割れていることや斜面の崩壊を防ぐための「擁壁」が大きく傾いている事を市が初めて確認し、市は工事の緊急性があると判断し、翌日から9日にかけて応急対策工事を行いました。
緊急車両道路のこうした“異変”が、今回の土砂災害の前兆のひとつだった可能性もあるということです。
検討委員会のメンバーの一人で、国交省・土砂災害研究部砂防研究室の鈴木啓介室長は、「①道路の構造が斜面に影響を及ぼしたのか、②斜面全体が動いていてその変状が道路の表面にも表れていたのか。そのへんはしっかり今後明らかにしていく必要があると認識している」と話しています。
原因究明とともに急がれるのが現場の「二次被害防止」ですが…きょうの委員会では今回の土砂崩れで崩れ落ちた土砂の量が、およそ6000立方メートルだったと明らかにしました。
また、今回の土砂崩れで、斜面には、新たにおよそ1500立方メートルの土砂が堆積した状態になっているとみられるということです。
これらの現状を受け、県と市は、近日中にもまず、被災現場のふもとに大型の土のうを積んで、小規模な崩落に備えるなど応急仮設工事を進める予定です。崩れた斜面や残った土砂についてはどう対策するかは未定だということです。
現時点で、応急工事の完了時期は未定で、この工事が終わるまでは現在20世帯33人に発令されている「避難指示」は解除されない見込みです。