【富士山】“オーバーツーリズム”対策として山梨で「登山日予約」など始まる…静岡は登山計画登録呼びかけ
混雑や弾丸登山が問題となっている富士山。山梨では、その対策として、通行料の事前決済と、「登山日の予約」が20日から始まりました。一方、静岡では、弾丸登山などを防ぐため、登山計画の事前登録を呼びかけるなどの対応を始めます。
(記者)
「ツアー客でしょうか、続々とバスから降りてきますね」
20日、多くの観光客が訪れていたのは世界遺産、富士山吉田ルートの五合目。
(中国からのツアーガイド)
「富士山みんな行きたいめっちゃきれい」
2024年の山開きは7月1日。その日からここで新たに始まるのが…。
(記者)
「山梨県はこの先にゲートを設置し人数や時間の制限を行います」
これまで登山者には任意の協力金だけが求められていましたが、7月からは一人2000円の通行料が必須に。吉田ルートの1日の登山者を4000人までに制限するのです。20日 始まったのはその予約受け付け。予約はインターネットからのみで登山する日や名前などを入力し通行料を支払うと…。
(記者)
「メールで2次元コードが届きました」
当日、この2次元コードをゲートにかざすのです。山梨県が規制に踏み切った背景にあるのが、登山道の大混雑。多い日は山道が登山客でびっしり覆い尽くされ、渋滞に。さらに夜通し登山をする危険な“弾丸登山”が横行するなどオーバーツーリズムへの対策が求められているのです。
(自転車で来た人)
「入山規制は賛成ですね、よく聞く軽装とかで登る人いるじゃないですか、歯止めになるんじゃないかと思うんですけどね」
山梨県によりますと1日4000人の入山者数は混雑具合などを計算し設定。しかし、2023年のシーズンに4000人を超えたのは5日間。4000人の中には当日枠も設けているため予約を急ぐ必要はありませんが、日程が確定している人は是非活用してほしいということです。
一方、静岡側には「富士宮口」「須走口」「御殿場口」の3つの登山口がありますが、通行料の設定はありません。しかし、静岡県によりますと、2024年から富士山に登る前に任意でウェブ上での登山計画の登録や、ルールやマナーを学ぶ動画の視聴を求める取り組みを始めるということです。
事前登録を終えると2次元コードが発行され、登山口やシャトルバス乗換場などで、スタッフが登録内容を確認するほか、午後4時以降宿泊予約がない人は登山の自粛を呼びかけます。山梨側で富士山への通行規制が始まったことについて、富士山の観光協会関係者は…。
(小山町観光協会 安藤 和一さん)
「おそらく静岡県側の須走口や御殿場、富士宮側に登山客は増えると考えている」「山道の整備や公衆トイレの維持管理保全を考えると、言葉は適切ではないかもしれないが、登山客にも利用者負担といった意味で入山料は今後(静岡県側でも)必要になるのではないかと思う」
静岡県は、2024年の登山状況に応じて、次年に向けた対策を検討していくと話しています。
さらに今、混雑対策として山梨県が打ち出しているのが…富士山の登山鉄道構想です。
麓と五合目までをつなぐ道路「富士スバルライン」。ここに次世代型路面電車=LRTを走らせるというこの構想。往復運賃を1万円とした場合、年間約300万人の利用を見込んでいるといいます。山梨県は運行本数の調整などで来訪者数をコントロールでき、排ガスによる大気汚染の改善も目指しているといいます。
(観光客)
「多分、あれば乗ってみたいと思うかもしれないですけど」「犬がいるのでダメだと思いますけど」
しかし、構想に反対するのは富士山の麓の神社で長年宮司をつとめる上文司さんです。
(富士山登山鉄道に反対する会 上文司 厚 代表)
「富士山はご神体でありますので拝む対象にあります。これ以上手を加えることはその信仰に反すると思う」
4月、山小屋組合や観光連盟などの有志と「反対する会」が発足し、先週までに2万4000人の署名が集まったといいます。さらに理由として挙げたのは…。
(富士山登山鉄道に反対する会 上文司 厚 代表)
「山を掘るということは」「地盤が緩むとかそういうこともかなり懸念されるのでは」
4月には、水を含んだ雪が土砂といっしょに流れる「スラッシュ雪崩」が発生。道路が一時寸断されました。また、活火山の富士山は落石も起きやすく、安全面で疑問の声があがっています。これに対して県は土砂崩れなどに対し安全対策を行っていくとしています。また、富士吉田市の市長も反対を表明。
(山梨・富士吉田市 堀内 茂 市長)
「別にEVのバスでやってもまったく同じ事だと思う。そうすれば自然に手を入れることなく余計なお金も使わずしっかりした管理ができる」
今後も山梨県は住民説明会などを開き、地元の理解を得たいということです。
(スタジオ解説)
混雑や弾丸登山が問題となっている富士山。ここからは、富士山への登山について、静岡県と山梨県が実施する対策の違いを比較していきます。
2024年から通行規制をかけた山梨では、前日までにウェブサイトから登山予約し、2000円の通行料を支払います。すると、登録したメールアドレスに予約完了メールとともに2次元コード送られていくるので、当日は、その2次元コードをゲートにかざし、登山する仕組みとなっています。
山梨県では、1日の登山者を4000人までに制限していますが、この中には当日枠もあるということで、予約を急ぐ必要はありませんが、事前に日程が確定できる人はウェブサイトからの登山予約を呼びかけています。
続いて、静岡県では通行料の支払いはありません。しかし、2024年から、ウェブ上での登山計画の登録や登山のルールやマナーを学ぶ動画の視聴を求める取り組みを始めるということです。事前登録を終えると2次元コードが発行され、登山口やシャトルバス乗換場などでスタッフが登録内容を確認するほか、午後4時以降 宿泊予約がない人は登山の自粛を呼びかけるとしています。
(記者)
「ツアー客でしょうか、続々とバスから降りてきますね」
20日、多くの観光客が訪れていたのは世界遺産、富士山吉田ルートの五合目。
(中国からのツアーガイド)
「富士山みんな行きたいめっちゃきれい」
2024年の山開きは7月1日。その日からここで新たに始まるのが…。
(記者)
「山梨県はこの先にゲートを設置し人数や時間の制限を行います」
これまで登山者には任意の協力金だけが求められていましたが、7月からは一人2000円の通行料が必須に。吉田ルートの1日の登山者を4000人までに制限するのです。20日 始まったのはその予約受け付け。予約はインターネットからのみで登山する日や名前などを入力し通行料を支払うと…。
(記者)
「メールで2次元コードが届きました」
当日、この2次元コードをゲートにかざすのです。山梨県が規制に踏み切った背景にあるのが、登山道の大混雑。多い日は山道が登山客でびっしり覆い尽くされ、渋滞に。さらに夜通し登山をする危険な“弾丸登山”が横行するなどオーバーツーリズムへの対策が求められているのです。
(自転車で来た人)
「入山規制は賛成ですね、よく聞く軽装とかで登る人いるじゃないですか、歯止めになるんじゃないかと思うんですけどね」
山梨県によりますと1日4000人の入山者数は混雑具合などを計算し設定。しかし、2023年のシーズンに4000人を超えたのは5日間。4000人の中には当日枠も設けているため予約を急ぐ必要はありませんが、日程が確定している人は是非活用してほしいということです。
一方、静岡側には「富士宮口」「須走口」「御殿場口」の3つの登山口がありますが、通行料の設定はありません。しかし、静岡県によりますと、2024年から富士山に登る前に任意でウェブ上での登山計画の登録や、ルールやマナーを学ぶ動画の視聴を求める取り組みを始めるということです。
事前登録を終えると2次元コードが発行され、登山口やシャトルバス乗換場などで、スタッフが登録内容を確認するほか、午後4時以降宿泊予約がない人は登山の自粛を呼びかけます。山梨側で富士山への通行規制が始まったことについて、富士山の観光協会関係者は…。
(小山町観光協会 安藤 和一さん)
「おそらく静岡県側の須走口や御殿場、富士宮側に登山客は増えると考えている」「山道の整備や公衆トイレの維持管理保全を考えると、言葉は適切ではないかもしれないが、登山客にも利用者負担といった意味で入山料は今後(静岡県側でも)必要になるのではないかと思う」
静岡県は、2024年の登山状況に応じて、次年に向けた対策を検討していくと話しています。
さらに今、混雑対策として山梨県が打ち出しているのが…富士山の登山鉄道構想です。
麓と五合目までをつなぐ道路「富士スバルライン」。ここに次世代型路面電車=LRTを走らせるというこの構想。往復運賃を1万円とした場合、年間約300万人の利用を見込んでいるといいます。山梨県は運行本数の調整などで来訪者数をコントロールでき、排ガスによる大気汚染の改善も目指しているといいます。
(観光客)
「多分、あれば乗ってみたいと思うかもしれないですけど」「犬がいるのでダメだと思いますけど」
しかし、構想に反対するのは富士山の麓の神社で長年宮司をつとめる上文司さんです。
(富士山登山鉄道に反対する会 上文司 厚 代表)
「富士山はご神体でありますので拝む対象にあります。これ以上手を加えることはその信仰に反すると思う」
4月、山小屋組合や観光連盟などの有志と「反対する会」が発足し、先週までに2万4000人の署名が集まったといいます。さらに理由として挙げたのは…。
(富士山登山鉄道に反対する会 上文司 厚 代表)
「山を掘るということは」「地盤が緩むとかそういうこともかなり懸念されるのでは」
4月には、水を含んだ雪が土砂といっしょに流れる「スラッシュ雪崩」が発生。道路が一時寸断されました。また、活火山の富士山は落石も起きやすく、安全面で疑問の声があがっています。これに対して県は土砂崩れなどに対し安全対策を行っていくとしています。また、富士吉田市の市長も反対を表明。
(山梨・富士吉田市 堀内 茂 市長)
「別にEVのバスでやってもまったく同じ事だと思う。そうすれば自然に手を入れることなく余計なお金も使わずしっかりした管理ができる」
今後も山梨県は住民説明会などを開き、地元の理解を得たいということです。
(スタジオ解説)
混雑や弾丸登山が問題となっている富士山。ここからは、富士山への登山について、静岡県と山梨県が実施する対策の違いを比較していきます。
2024年から通行規制をかけた山梨では、前日までにウェブサイトから登山予約し、2000円の通行料を支払います。すると、登録したメールアドレスに予約完了メールとともに2次元コード送られていくるので、当日は、その2次元コードをゲートにかざし、登山する仕組みとなっています。
山梨県では、1日の登山者を4000人までに制限していますが、この中には当日枠もあるということで、予約を急ぐ必要はありませんが、事前に日程が確定できる人はウェブサイトからの登山予約を呼びかけています。
続いて、静岡県では通行料の支払いはありません。しかし、2024年から、ウェブ上での登山計画の登録や登山のルールやマナーを学ぶ動画の視聴を求める取り組みを始めるということです。事前登録を終えると2次元コードが発行され、登山口やシャトルバス乗換場などでスタッフが登録内容を確認するほか、午後4時以降 宿泊予約がない人は登山の自粛を呼びかけるとしています。