【リニア特別取材】開発はどこまで?「every.しずおか」津川アンカーと航空・旅行アナリスト鳥海氏が最前線“体感”
静岡県内での工事が着手されないまま、すでに7年が過ぎ、2027年の開業も不可能となったリニア新幹線。実際、リニアの開発はどこまで進んでいるのか?今回、津川さんと鳥海さんがリニア新幹線に試乗して、その最前線を取材しました。
(JR東海 丹羽 俊介 社長)
「残念ながら品川ー名古屋間の2027年の開業は実現できない」
静岡県内の工事に着手できていないことから、2024年3月、予定していた2027年の開業を断念した「リニア中央新幹線」。しかし、その後、着工を認めてこなかった川勝知事が辞任し鈴木知事になると、一転、県内でのボーリング調査を認めるなど、2024年、静岡県にとってリニアは大きく動き出した年になりました。県民にとっては、これまで動きがほとんどなかったため、リニアの現実味はあまり感じられないかもしれませんが、実は、その開発は、すごいところまで来ているのです。
津川さん・鳥海さんがやってきたのは、御殿場市内から車で40分ほどの場所にある「JR東海・山梨実験センター」。ここで、リニア開業に向けた実験が行われています。案内してくれたのはセンター長の古賀さん。
(津川祥吾 アンカー)
「きょうは貴重なリニアに乗せていただけるということで、楽しみにして参りました」
(コメンテーター 航空・旅行アナリスト 鳥海 光太朗さん)
「もう速度というか、なんか次元が違う世界を、ちょっとここに来るためになんかもうワクワクするって」
リニア新幹線のスピードは時速500キロ。まずは、その速さを体感することに。
(JR東海 山梨実験センター 古賀 俊作 センター長)
「ここは、一般の方が立ち入れない特別な場所になってますので、高速感を間近で体感できる場所になっています。どうぞご期待ください」
外に出ると、目の前にはリニアの走行路が。
(JR東海 山梨実験センター 古賀 俊作 センター長)
「リニアが、もうすぐ向こうからこちらに向かって500キロで通過します。ここを1、2秒で通過します。まばたき厳禁でお願いします」
すると。
(津川さん・鳥海さん)
「速いですね」「一瞬」
(航空・旅行アナリスト 鳥海 光太朗さん)
「思ったよりもうるさくない 」「轟音がなんか響くかなという感じのイメージを持っていたが思ったより静か」
(JR東海 山梨実験センター 古賀 俊作 センター長)
「ジェットエンジンを積んでるわけではないので、そんなに音がするわけではない。この音は全部500キロで空気を切ってる、その音だけです」
さらに驚くのは、1日に走る距離。全長42.8kmある実験線を何度も往復して、なんと、静岡から台湾まで行ける1日2000キロも走っているのです。27年前からの試験走行で、2024年10月には累計500万キロに到達。地球125周分という、ものすごい距離を走行しているのです。
(津川祥吾 アンカー)
「技術的にはどうなんですか。もう完成してる?まだまだ?」
(JR東海 山梨実験センター 古賀 センター長)
「2017年の国交省の評価委員会の方で、技術的にはもう完成しているという評価をいただいています」
それではなぜ、1日2000kmも走る必要があるのでしょうか。
(JR東海 山梨実験センター 古賀 俊作 センター長)
「やはり営業線になった時に、運営コストとか保守のコストをどう抑えられるかを、いろいろ走らせながら検証しているところが、今の1番の大きなポイント」
日常でありえない時速500kmを目の前で体験して、興奮を抑えきれない鳥海さんは…。うれしそうな顔です。
さらに、リニアの車体を間近で見られる場所へ。リニアは、地上に取り付けられたコイルから発生する磁力と、車両に搭載した超電導磁石を利用して、10cm浮上した状態で高速走行します。
(航空・旅行アナリスト 鳥海 光太朗さん)
「なんかその、コンコルドが飛んだ時のような気持ちっていうか、かっこよさも含めて、車体かっこいいですよね」
(JR東海 山梨実験センター 古賀 俊作 センター長)
「やはり、高速になればなるほど、飛行機とかもそうですが、非常にかっこいいですよね」「要は空力をどれだけ減らすか、早く飛んだり走ったりするためには、もうすでに、こういう形になって見た目かっこいいなと」
(航空・旅行アナリスト 鳥海 光太朗さん)
「かっこよさを追求したわけではなく、技術を追求した結果こうなったんですね」
ところで、リニアには電車や新幹線にある「パンタグラフ」はないようですが…。
(津川祥吾 アンカー)
「今ヘッドライトがついていますが車体に対しての電気はどうやって供給している?」
(JR東海 山梨実験センター 古賀 俊作 センター長)
「これ、完全に非接触なので。非接触で集電できるシステムというのも我々も開発していて、それで営業線は供給されることになります」
これは、最近増えているワイヤレス充電できるスマホと同様の仕組みが利用されています。そして、いよいよお待ちかねのリニアに乗車です。
(JR東海 山梨実験センター 古賀 俊作 センター長)
「こちらから青色に見えて、まさにですね、今そこに白い車体でブルーの2本のラインが入ってるのが、これからお乗りいただく車両です」
リニアには、新幹線のような「ホーム」はなく、飛行機に乗る時のボーディングブリッジのような場所を進み、乗車します。
(航空・旅行アナリスト 鳥海 光太朗さん)
「何かアトラクションに乗るような」
(津川祥吾 アンカー・鳥海 高太朗さん)
「ワクワクします」
(航空・旅行アナリスト 鳥海 光太朗さん)
「触っていいそうなんで~飛行機に触るような感じ」
(津川祥吾 アンカー)
「ここは新幹線と同じ感じ」
(航空・旅行アナリスト 鳥海 光太朗さん)
「あ~なんかこじんまりコンパクトな感じ」
(津川祥吾 アンカー)
「 幅は狭いけど天井が高いのので狭い感じはしない」
(航空・旅行アナリスト 鳥海 光太朗さん)
「飛行機だな、これ」
リニア新幹線は、動き始めは鉄道と同様に車輪で走り、ある速度を超えると浮上して走行します。
(JR東海 山梨実験センター 古賀 俊作 センター長)
「あえて、何キロで浮くとは言いませんので、ここで浮いた、というのを体感してほしい」
そして…。
(航空・旅行アナリスト 鳥海 光太朗さん)
「動いた」
スピードがどんどん上がる中、感覚を研ぎ澄ませて浮上の瞬間を待ちます。
(津川祥吾 アンカー)
「ここですかね」
(JR東海 山梨実験センター 古賀 俊作 センター長)
「157キロなんですね」「音が変わりましたね」
まるで、飛行機が離陸する瞬間のような、車輪からの振動がなくなり、その音も消える感じです。車体が浮上すると、ここから一気に速度を上げていきます。新幹線のぞみの最高時速285キロも軽く超えていきます。
(JR東海 山梨実験センター 古賀 俊作 センター長)
「まもなく500キロです
(航空・旅行アナリスト 鳥海 光太朗さん)
「速い速い、すごいすごい」
(JR東海 山梨実験センター 古賀 俊作 センター長)
「これが500キロです」
(航空・旅行アナリスト 鳥海 光太朗さん)
「映画の世界ですよ、これ」
(JR東海 山梨実験センター 古賀 俊作 センター長)
「全然、普通に会話ができる」
(航空・旅行アナリスト 鳥海 光太朗さん)
「全く音がないわけではないが、会話ができるのがすごい」
最高速度に達しても、この安定性と静かさ。時速500kmでも、飛行機のようなシートベルトは不要で、車内を普通に歩くことができます。また、全体の約90%がトンネルのため、風雨の影響も受けにくい上、坂やカーブでも減速せずに安定した高速走行ができる高度な技術が、すでに完成しているんです。
(コメンテーター 航空・旅行アナリスト 鳥海 光太朗さん)
「日本は地震大国ということもあるので、この技術は、アメリカや中国、ドイツ、フランスの技術に負けないだろうなと思う」「日本が世界ナンバーワンであって、日本が常に技術革新をしていくことによって、存在感を出していく、そういう存在になるのかな」