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【特集】漁業者も激怒!「立ち入り禁止」に侵入する “迷惑釣り人” に新たな対策も…有料予約アプリでトラブル解消へ 【every.しずおか】

2023年11月22日 13:52
【特集】漁業者も激怒!「立ち入り禁止」に侵入する “迷惑釣り人” に新たな対策も…有料予約アプリでトラブル解消へ 【every.しずおか】

海で釣りを楽しむたくさんの人たち。しかし…そこは立ち入り禁止エリア。さらに、漁師と釣り人のトラブルも…。
漁師の仕事を脅かしかねないと、釣り禁止となる漁港が相次ぐ中、ある画期的なアプリが登場。ルール無視の迷惑釣り人を許さない!みんなに優しい、釣りの新たなシステム作りの現場に迫りました。

立ち入り禁止を無視!迷惑釣り人が後を絶たず

富士市・田子の浦港。新鮮なシラスや富士山の絶景を求めて、多くの観光客が訪れる一方…

(記者)
「立ち入り禁止のはずですが、多くの釣り人がいます」

田子の浦港は、そのほとんどが立ち入り禁止ですが、そこに侵入し釣りをする人が後を絶たないのです。

(記者)
「また一人男性が現れました。狭そうな危ない道を歩いている人もいます。海面から低い堤防で釣りをしています。ライフジャケットを着ていますが、子どもがいてかなり危険です」

大きな波が押し寄せる危険な場所も多く、釣り人が波にさらわれ海に転落する事故も。

(県 田子の浦港管理事務所 櫻井 良彦さん)
「色々なところに看板を出している、パトロールでも注意をしているが、なかなか理解を得られない」

県のパトロールに許可をもらい同行させてもらうと、立ち入り禁止エリアで釣りをする地元の大学生が。柵を越えなければ入れないエリアですが、普段から多くの釣り人がいるため、釣りのスポットと勘違いしていたと説明。注意を受けると素直に帰っていきました。

一方で 立ち入り禁止と分かった上で釣りをしている人も。

(記者)
「釣り禁止ということはご存知でした?」

(釣り人)
「知っていますよ、特に注意もされないし」

(記者)
「危なくないですか?」

(釣り人)
「やり方によってはもちろん危ないですよ」

危険と認識しながらも、釣りを続ける理由を尋ねると…

(釣り人)
「やる場所がないからじゃないか、釣りができる場所が有料や、無料であれば一番いいんだけど、そういうのが近くにないっていうのは一番の原因」

しかし、立ち入り禁止エリアに入るのは立派な犯罪。

(県 田子の浦港管理事務所 櫻井 良彦さん)
「あまりにも目につくようであれば、警察に不法侵入として通報も検討する」

漁師と釣り人のトラブルが問題化

この迷惑釣り人問題は、田子の浦港だけではありません。コロナ禍のレジャーとして、釣りを楽しむ人が増えた一方で、マナーが悪い釣り人と漁業者との間で、トラブルも増加。全国で釣り禁止となる漁港が相次いでいるのです。

その一つが、西伊豆町にある田子漁港。以前から釣り人が放置していくごみが問題となっていましたが、2022年6月、地元漁業関係者の我慢の限界を超える出来事が起きたのです。

(伊豆漁業協同組合 田子支所 真野 創 理事)
「釣り人が遠投のかご釣りをしていたんです、釣りざおをそのまま置いて目を離したすきに、船が通り、船長さんがウキに気付かず巻き込んでしまった」

漁港内で船が釣りの仕掛けを巻き込むトラブルが発生。すると、釣り人が漁師に激高し、道具の弁償を求めてきたのです。しかし、漁港で船が通る際には、釣り人がその邪魔にならないように、竿を移動させるのがマナー。

(トラブルにあった漁師)
「結局1時間ぐらい説明をしても、何とも、釣り人は『僕らが悪かった』とは認めない。めんどくさいので、それなら金を払うからもう帰ってくれと言って」

このトラブルがきっかけとなり、地元漁師の仕事を守るため、田子漁港での釣りを全面禁止としたのです。しかし…

(伊豆漁業協同組合 田子支所 真野 創 理事)
「地元の子どもたちや若い人も釣りが好きで、やりたい人も今は釣りができない」

一部の悪質な釣り人のせいで、ルールを守って楽しんでいた人たちも、釣りができなくなってしまったのです。

(伊豆漁業協同組合 田子支所 真野 創 理事)
「どこかで釣りができるようにしなければならないのかなと、ごみ問題と釣り人と漁業者の交通整理ができたらいいのかなと思っていた」

有料の釣り場予約システムを試験的に導入

同じ海を愛する者として、気持ちよく共存する道はないのか。その鍵となる、有料の釣り場事前予約が7月から試験的に始まりました。

スマホアプリ「海釣りGO」を使って予約を行い、指定された場所で漁協公認で釣りを楽しむことができるのです。

(アプリを開発した 國村 大喜さん)
「漁港はみんなのものだから、みんなで支えましょうと、無料だから好き放題の釣り人さんも中にはいたけれども、使った分だけ漁港を管理する人がお金を得られるアプリをつくりました」

料金は、中学生以上が1時間300円、西伊豆町民と小学生以下は無料となっています。漁港では早速サービスを利用して、釣りを楽しむ多くの人の姿が。

(釣り人:子ども2人と東京から)
「いつも駐車場とかがなく、釣り場として確保されてないところでやるのが申し訳なかった、ここは釣りをしていいと決められているから、多少お金払っても全然いい」

(釣り人:親戚と県内から)
「ある程度お金を落として維持管理ができるなら、システムとしてありだなと思う」

釣り人からはこの新たなサービスに好意的な反応が。

釣り人のマナー向上、観光への波及効果にも期待!

このシステムを利用するには、事前にルールを守るという制約が必要なため、地元の漁業関係者からも釣り人のマナー向上が期待されています。さらに、このサービス開始に向け、町を上げて取り組んできた西伊豆町の担当者は、釣りをきっかけに観光への波及効果にも期待を寄せています。

(西伊豆町 産業建設課 松浦城太郎 主査)
「トラブルはかなり減るんじゃないかなと。入り口は釣りなんですけど、その人たちが町内でお金を使っていただくことによって、観光にもお客さんを流し込めるのではないかと期待しています」

(静岡第一テレビ every.しずおか 2023年8月29日放送)

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