父親「犯行知ったのは事件後」 検察「家族で殺害する話し合い」主張対立 札幌・すすきの殺人
(石黒記者)「修被告がいまメモを読み上げました。犯行は知らなかったと無罪を主張しています」
(修被告)「田村修です。瑠奈が犯行を行うことを知っていたとあるが、そのことが分かったのは、事件があったあとです」
その表情からは感情の起伏は感じられず、自らしたためてきたというメモを淡々と読み上げ始めました。
田村修被告は起訴内容を否認し無罪を主張。
娘の犯行計画は知らなかったと訴えました。
開廷前。
世間を震撼させた猟奇的な事件から1年半。
今もなおその関心の高さは、傍聴券を求める行列からも伺えます。
(札幌市民)「娘が行ったことに対して、父親としてどういう責任を持っているのか、父親としての部分が見てみたい」
(札幌市民)「お父さんが精神科医だったからこそできたこと、できなかったことが知りたい」
2023年7月、札幌・すすきののホテル客室から62歳の男性の遺体が頭部のない状態で見つかったこの事件。
田村瑠奈被告と父親の修被告、母親の浩子被告の一家3人が逮捕・起訴されています。
このうち、瑠奈被告を手助けしたとして、殺人ほう助や死体損壊ほう助など4つの罪に問われている修被告61歳。
裁判員裁判での審理がついに14日に始まりました。
大きなポイントは、瑠奈被告の犯行計画を事前に知っていたのかー
(修被告)「キャリーケースの中身は娘から聞いておらず、のこぎりやナイフが入っているのは知らなかった」
これは、あの日事件直後に修被告が運転していたとみられる車。
現場近くの防犯カメラの映像です。
起訴状によりますと、修被告は瑠奈被告を事件当日、車で送迎。
また、事件前にはのこぎりやキャリーケースなどを購入し、瑠奈被告に提供したとされています。
(修被告)「日常物品や化粧品などを買っているので、殺害目的とは知らなかった」
弁護側はのこぎりなどについて「使い道や目的を聞くことなく会計をした」などとして、事前に犯行計画は知らなかったと主張。
一方、検察側は「犯行前に男性を殺害する話し合いを家族でしていた」と指摘しました。
2023年5月、すすきののダンスクラブで撮影された映像には、瑠奈被告と被害にあった男性、そして2人を見つめる修被告の姿が捉えられていました。
これが親子と男性の最初の出会いです。
このあと瑠奈被告と男性との間に性的トラブルが起き、殺人にまで発展。
また、瑠奈被告が自宅に持ち帰った男性の頭部を損壊する様子を、ビデオで撮影するなどした死体損壊ほう助の罪についてはー
(修被告)「浩子からビデオ撮影をしてほしいと抽象的に頼まれたが、そのときに具体的に何を撮るのかなどは聞いていない」
(検察)「ズーム機能やペンライトで損壊行為を照らして、瑠奈被告がおさめたいものを撮影した」
否認する弁護側に対し、直接的・心理的に手助けしたと主張する検察側。
意見は真っ向から対立しました。
修被告の裁判は15日も続きます。
判決が言い渡されるのは3月12日です。