我が国初のシカ捕獲実験が札幌で…決め手はドローン ハンター資格持つ吉岡祐貴記者実地レポート
深刻化するエゾシカの農業被害を食い止めるために、ドローンや最新技術を使った日本初の捕獲実験がスタートしました。
今回、ハンターの資格を持つ記者が現場の最前線に密着しました。
2025年1月に札幌市南区で、札幌市とJA、ハンターの3者が協力して、最新技術を駆使したシカの捕獲実験が行われました。
ドローンを使用して上空からシカの熱を感知し、ハンターに居場所を共有するという日本初の取り組みです。
およそ40人のハンターが2人1組に分かれて決められた配置場所につきます。
シカを追い立てて仕留める大規模な巻き狩り猟です。
ハンターの資格を持つ吉岡祐貴記者も特別に参加が許されました。
山の中には、至るところにシカの足跡が見られました。
実はエゾシカの推定生息数は年々増加し、2023年度は過去10年で最多の73万頭となりました。
エゾシカが農作物を食べるなどの農業被害はおよそ48億円にのぼり、シカはいま「害獣」とも呼ばれています。
これ以上被害を深刻化させないためにも、道は2024年1月からの3年間を「緊急対策期間」としていて、シカの捕獲を重点的に推進しています。
(ハンター歴7年 小川佳一さん)「ドローンで発見したシカがプロットされるので、どこにいるのかという(情報が)飛んでくる」
ハンター歴7年の小川さんです。
今回の捕獲実験では手元のモニターにシカの位置情報が表示されるため、ハンターは待ち伏せをして発砲の準備をすることができます。
しかしー
(小川佳一さん)「GPSがまだとれていないですね」
この日は機材トラブルでシカの位置情報を確認できず、本部との無線でシカの位置を共有することになりました。
(小川佳一さん)「チャーリー隊の左翼はアルファ隊に進入している」
今回捕獲したシカは全体で4頭。
大人3人がかりで引っ張りますがー
(吉岡記者)「重たい」
山から下ろすのも一苦労です。
ハンターの数はピーク時の4分の1。
増え続けるシカ問題を解決するためにも、最新技術の活用は不可欠だといいます。
(北海道猟友会札幌支部南部会 小銭悟史隊長)「この大きな範囲にシカがいるかいないかということは、我々人間には分からないものですから。そういったところをできる機械に任せて、実際のとる人間が担うといった形で、人間と機械のいいところどりをして、効率と安全を大きく担保できればいいかなと考えています」
(吉岡記者)「今回参加してみて、山に入っての有害駆除がどれだけ過酷かということが分かりました。少しでも安全に、少しでも捕獲しやすくするために、ドローンの最新技術にハンターは大きな期待を寄せていました」