秋元札幌市長「新幹線のスケジュールによらず再開発を進める」強調も…専門家懸念・市民不便
2030年末としていた北海道新幹線の札幌延伸が数年単位で遅れることになり、懸念されるのがまちづくりへの影響です。
札幌市の秋元市長は、新幹線のスケジュールによらず再開発を進める考えを強調しました。
(鉄道・運輸機構 藤田耕三理事長)「2030年度末の完成開業目標の達成は極めて困難であると。現時点で具体的に次の開業時期や目標をお示しすることは技術的に困難で、あえて言えば数年単位の遅れでご理解いただきたい」
2024年5月8日、2030年度末としていた北海道新幹線札幌延伸が困難な状況にあることを国に報告した鉄道・運輸機構。
トンネル掘削工事の難航などにより、複数の工区で3年から4年の遅れが出たことが理由です。
懸念されるのが、開業を見据えて進められていた再開発への影響です。
札幌の中心部では駅直結の商業施設・エスタが2023年8月に閉店。
再開発ビル建設に伴い、バスターミナルも閉鎖されました。
(宮崎記者)「札幌駅直結のバスターミナルが去年閉鎖したことにより、各地へ向かうバスのバス乗り場は駅周辺に分散して配置されています」
利用者からは不便でわかりにくいとの声が相次ぎました。
(2ヵ月前に北海道に移住した人)「詳しい人なら間違えることはないけど、僕とか観光客にはちょっとわかりずらい」
(釧路へ向かう人)「1日も早い工事の終了と、もう少し利便性を考えてくれたらうれしい」
現在、札幌駅の東側には新幹線駅の建設が進められています。
北5西1・西2地区には高さ245メートルの超高層ビルも完成予定で、鉄道をはじめ、バス・地下鉄・タクシーが集まる交通ネットワークの中核として機能する予定です。
秋元市長は新幹線のスケジュールによらず、再開発を進める考えを強調しました。
(秋元市長)「バスターミナルの開業も遅れるのではないかという心配が多くありますけど、再開発事業そのものは急いでやっていかなければいけないという状況だと認識していますので、新幹線の開業の遅れの有無にかかわらず、現時点でのスケジュールで進めたい」
専門家はー
(北海道大学工学研究院 高野伸栄教授)「再開発事業・駅の整備・地下道路の整備を見ながら、関連する人たちがいろいろな出店計画だったり、いろいろな計画を考えている。札幌市が駅前地区はどういう姿を考えていて、年次計画を示していかないと、完成までの数年間の間に空白の期間になってしまう。これは非常に問題がある」
数年単位で遅れることになった北海道新幹線の札幌延伸。
開業を見据えた新たなまちづくりのビジョンが求められています。