クマ駆除に苦情や批判相次ぐ “命がけ”のハンター 人への脅威どう減らす 北海道
北海道でのクマの出没の数は、ことしすでに去年1年間を大幅に上回る異常事態です。
クマの駆除をめぐり批判の声もあがる中、駆除か保護かハンターも苦悩の中にいます。
空知の三笠市桂沢の国道452号です。
2日午前8時20分ごろ、道路沿いの斜面を親子とみられる2頭のクマが勢いよくおりてきました。
(撮影した人)「4~5分は道路脇にいたと思います。こんな身近に出てくるようになったんだなときのう初めて実感して、ちょっと怖いなというのが一番の思いですね」
道警によりますと、道内では10月20日までにクマの目撃通報が3509件寄せられ、過去5年で最多となっています。
なかでも流行語大賞にノミネートされるなど、ことし全国的に話題となったのが「OSO18」です。
標茶町などで乳牛を襲いながらも警戒心が非常に強いクマで、OSO18の捕獲は難航を極めましたがことし8月、事態は急展開を迎えます。
(釧路総合振興局 杉山誠一くらし・子育て担当部長)「家畜被害をあたえておりましたヒグマOSO18と呼ばれるものと確認されました」
OSO18が駆除され地元が安堵する一方で、役場には苦情や批判の声が電話やメールなどで30件ほど寄せられたということです。
「クマがかわいそう」「他に方法があったのではないか」
厚岸町のハンター・久松昭治さん(73)です。
クマの駆除に対して非難が相次いだことに複雑な思いを抱えていました。
(久松昭治さん)「余計なり手がいなくなっちゃう、非難がくるとね。人の命を守るために、クマが(人里に)近づいたら駆除しなければいけない」
こうした事態を受け、道はSNSやホームページでヒグマの捕獲に理解を求めるメッセージを発信しました。
(道・野生動物対策課ヒグマ対策室 武田忠義主幹)「被害を防ぐためにどうしても必要な駆除というのはあります。そのことを事実として皆さんにしっかり知っていただいて、またそれぞれ考えていただければと思います」
そして3日、札幌ではー
(鷲見記者)「多くの人が行き交う地下歩行空間では、ヒグマについての理解を深めてもらうためのイベントが開催されています」
(酪農学園大学 佐藤喜和教授)「何かの拍子に(クマが)マチの中に出てきてしまう。そういうことが何年かに一度起きると思うと、そういう状況をこのまま維持し続けていくのか。人の近くで生活するクマの数は少しずつ減らしていくような対策が必要なのか」
クマの駆除・クマとの共存について、参加した人の意見も分かれました。
(参加した市民)「これだけ人間に脅威を及ぼしているってことであれば、必要数を駆除するのはやるべきだと思っています」
(参加した市民)「クマの方がかわいそうだなと思っていて。共存は難しいとは思いますが、どうしたらうまく住み分けできないのかなと思っています」
市街地に出没するクマが多発しているなか、駆除か保護か。
ハンターへの批判も高まり、問題は複雑になっています。