「搾れるけど搾れない」借金返済にエサ代高騰 生産抑制が追い打ち 三重苦の酪農家 北海道

北海道の酪農家は、牛乳の消費の落ち込みで生産の抑制に悩まされています。
将来をみすえ規模を拡大した酪農家は、重くのしかかる返済に加えエサ代の高騰も重なり、三重苦にあえいでいます。
大規模酪農家の実態を追いました。
5億円かけて規模拡大も生産抑制
酪農が盛んな中標津町の牧場です。
国見隆一さんは5億円もの費用をかけて規模を2倍に拡大しました。
しかし、搾乳量が抑制される中、今月から返済が始まる予定で不安を募らせています。
(国見隆一さん)「(牛を)増頭して乳量を搾って施設に投資して未来図を描いてやってきたが、生産抑制ではしごを外され(経営は)厳しい」
国見さんはオランダから最新の設備を導入しました。
(国見隆一さん)「搾乳ロボットになります」
乳房が張った牛が自ら入ってくる搾乳ロボット。
洗浄から搾乳まで全て自動で、人の手がほとんどかからない優れモノです。
しかし、コロナ禍で落ち込んだ需要が戻らず、生産の抑制が課せられたため、計画通り収入を増やせないのが現状です。
(国見隆一さん)「2億円くらいが国で残りの3億円を(20年で)自分で払う。いまの状況で3億円を払っていくのは厳しい。頭数(を増やして)満足に搾れればそんなに苦しくはないが…」
両親の負担を減らそうと大規模化を決断
牧場と家族の将来を考え、国見さんが大規模化を決断したのは4年前でした。
2019年、国見さんは牛70頭を手作業で搾乳していました。
高齢になる両親の負担を軽減したいと、設備への投資を考え始めたといいます。
(国見隆一さん)「(両親が)さすがにもう10年働けるかどうか。今まで頑張ってきているから老後はゆっくりさせてあげたい」
子牛の世話をするのは母親の祐子さん。
重機を使った作業は父親の正則さんが手伝います。
(父親 正則さん)「自分なり奥さんなり息子なりが体調崩したら(牧場は)アウトさ。どんなに熱があろうが風邪をひこうが来なきゃならない。「今日休みます」は無し。盆正月も無し」