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【特集】“24時間リレー”イベントでがん患者や家族などを支援 伝えたいメッセージとは《新潟》

2024年10月20日 17:55
【特集】“24時間リレー”イベントでがん患者や家族などを支援 伝えたいメッセージとは《新潟》

がん患者や家族などを支援するイベントがことし9月、新潟市で開かれました。

孤独や不安を感じる闘病生活。 支えてくれるのが仲間の存在です。
イベントには伝えたいメッセージがありました。

◆がん経験者や家族を支援

ライトアップされたビッグスワンを横目に夜道を歩く人たち。

がんの経験者やその家族を支援するためのイベントです。

〈イベント実行委員 南雲良子さん〉
「治療の時に、すごく辛くなったときに明日もちゃんと迎えられるのかなって思ったときに夜明けの色が見えるのは安心ができました」

病気に立ち向かう勇気を……。
イベントに込められたメッセージに迫りました。

◆24時間歩くチャリティーイベントで

9月15日。 雨の中、新潟市内の公園に多くの人が集まりました。
始まったのは「リレー・フォー・ライフ」。 がんの経験者やその家族を支援するために募金を集めるチャリティーイベントです。

特徴は24時間、歩き続けること。

「がん患者は24時間病気と向き合っている」というメッセージを伝えるためです。
この日は医療関係者など支援者も含め約600人が参加しました。

◆色々なサポートを

〈参加者(医療関係者)〉
「みんなでね寄り添ってね頑張っていけたらなと思います」

〈美容室Ann〉
「これは医療用のウィッグになります。抗がん剤で治療された方が髪が抜けちゃうのでそういうときに使用していただくウィッグ。これをきっかけにいろいろなヘアスタイルアレンジできたとか楽しめたという声をいただけるとうれしいですね」

◆乳がんを経験

参加者の1人、南雲良子さん。
イベントの実行委員も務めています。

〈イベント実行委員 南雲良子さん〉
「仲間がいてくれるというところ何かこう受け止めてくれるんですよね。それが私の中では帰ってきたんだなという気持ちになりました」

2013年、右胸に乳がんが見つかった南雲さん。 摘出の手術など闘病を経験しました。

〈南雲さん〉
「1人で闘っていたつもりでした。病気と闘うのは私1人。だから他の人に迷惑かけちゃいけないなとか」

募る孤独と不安。 手術前には夫と幼い子どもたちにあてた遺書を書いたといます。

〈南雲さん〉
「一番伝えたかったのが、……これ泣きますね。本当に大切なんだよということ、大事なんだよということ、大好きなんだよということ。これから先のことも一緒にはいなくても見守ってるよ」

そんなときに出会った「リレー・フォー・ライフ」。
開催の告知を見て何気なく参加してみましたが、その時の体験が孤独や不安を消し去ってくれました。

〈南雲さん〉
「夜明けの色ドーンパープルって私たち言うんですけれども、その色が希望の色になるんだよって」

英語で夜明けを意味する「ドーン」。 朝日に照らされた空が紫に染まっていく様子を表します。

〈南雲さん〉
「みんなで夜明けを迎えられると幸せな気持ちになります」

◆「1人じゃない」

仲間と一緒に見る朝日。
「1人じゃない」。 そう思えるようになりました。

〈永井伸哉さん〉
「2019年に大腸がんになってことしの8月に一応卒業ということで、卒業できたんですね」
〈司会者〉
「よかったね」
〈永井伸哉さん〉
「ありがとうございます」

イベントは今まで1人で抱えていたことを吐き出すことのできる場所でもあります。
永井伸哉さんは、5年前に大腸がんが見つかりました。

ポジティブでいることを大事にしてきた永井さん。
誰かの役に立つのであればとイベントで闘病の体験を話すことにしました。

〈永井伸哉さん〉
「最初は本当にしんどかったがしんどい気持ちはとにかく人に話そう。話すことで何とかなるなと常に思っているので、いまも何するにも何とかなるなっていう気持ちでいるのでそこが大切かなと思う」

日が暮れてからも参加者は交代で歩き続けます。

長野県から参加した西澤千春さん。
父、祖父をがんで亡くしました。

〈西澤千春さん〉
「マイナスな方に考えてしまってプラスに考えられずにどうしても亡くなったこと、失ってしまった時間を嘆いてしまって悲しくなって、自分も生きていていいのかなというところまで考えてしまって」

もっと一緒に過ごしていれば……。失ってしまった時間に後悔することもありました。
それでもイベントに参加したことで少しずつ、気持ちに余裕ができてきたといいます。

〈西澤千春さん〉
「もしがんと申告された方が身近にいるならぜひもっとたくさん話を聞いてあげてたくさん時間を一緒に過ごしてほしいなと思います」

◆「仲間がいっぱいいると思うと心強い」

時刻は午前3時を回っていました。

乳がんを経験した南雲良子さんです。
何事もなく朝を迎えられるのか。 夜が怖いと思ったこともありました。

〈南雲良子さん〉
「病室で手術を迎えるときとかこのまま起きられなかったらどうしようというのはありました。ただ私は幸いにして同じ病室で同じ病気のお友だちができたんですね。なのでその友だちの存在はすごく大きかったです。そこからは怖さは半減しました」

日の出が近づくにつれ空は少しずつ明るさを取り戻します。
朝を迎える希望の色、ドーンパープル。
はっきりとは見ることができませんでしたが、空が紫がかっているようにも見えました。

〈南雲良子さん〉
「朝が来ました」

〈家族にがん経験者がいる 渡辺美幸さん〉
「どんなに辛くても朝は来るのでそのときに1人じゃなければ心も変わってくるのではないかと思って頑張って起きています」

イベントもいよいよクライマックスに。
何の変哲もない朝ですが、仲間と一緒に迎えたことで参加者にとっては特別なものになっています。
参加者は……。

〈参加者(10代でがんを経験)〉
「私がなったときはSNSとかスマホもない時代だったので、ひとりで悩んで暗く落ち込んでいたのですが今こうやって仲間がいっぱいいると思うと心強いと思って」

〈参加者(白血病を経験)〉
「言葉とかよりも近くにいて1人じゃないと思わせてくれるだけでも気持ちとしては違う」

ひとりじゃない。
そう感じられたことがあしたに希望を持つ心の支えになりました。 

〈南雲良子さん〉
「私はここに来て1人じゃないんだなって感じられたので、もし治療がつらくてきつくてつらいなとか一人で殻に閉じこもっているのであれば1人じゃないよって伝えたいです」

イベントを通して伝えるメッセージ。
「1人じゃない」。

病気で孤独や不安と闘う人たちへ届きますように。

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