【シリーズ③】パラオの現地調査 要人に「脱炭素化への貢献」堂々プレゼン 企業の挑戦を追う
太平洋に浮かぶ島国・パラオ。
この国が直面する環境問題の解決の一助になればと、大分県中津市の企業が事業展開を目指しています。
企業の思いや取り組みを全3回のシリーズでお伝えします。
2月下旬、現地調査でパラオを訪れたのは中津市のTーPLANの担当者たちです。
この会社で手掛けているのは太陽光発電で生み出した電力を電気自動車に供給する「青空コンセント」という設備。姫島村ではレンタカー事業で活用され、「姫島モデル」と呼ばれています。
◆TOS児玉直輝記者
「手つかずの自然や戦争の歴史が残るこのペリリュー島も『青空コンセント』設置候補場所となっている。大分のいわゆる『姫島モデル』は遠く離れたこの場所でも果たして実現するのか」
パラオの主要都市コロールから南西におよそ40キロ離れたペリリュー島。
リーダーの吉岡稔さんをはじめとするTーPLANのプロジェクトチームはこの島などパラオの各地で「姫島モデル」を展開することを目指しています。
美しい海が広がるパラオの中でも屈指のダイビングスポットであるペリリュー島。
その一方、およそ80年前、旧日本軍とアメリカ軍が衝突した太平洋戦争の激戦地でもあります。
島内には激しい戦闘を物語る戦跡が数多く残されていて、日本から訪れる人たちも多いということです。
吉岡さんたちは「姫島モデル」により、島の交通手段を電気自動車で充実させるとともに脱炭素化にも貢献しようとしています。
こうしたプロジェクトを進める意義について、現地の行政トップである州知事にも説明しました。
◆ペリリュー州エマイス・ロバーツ州知事
「電気自動車の導入は初めは少しずつかもしれないが、将来は島のみんなが電気自動車に乗っているかもしれない。ペリリュー島は太陽の日差しも強いのでその可能性がある。TーPLANの事業には全面的に協力をしていきたい」
この日も現地のキーマンとの会談です。
◆TーPLAN 吉岡稔さん
「この旅の一番のメインなので緊張しますね…」
緊張した様子の吉岡さん。
それもそのはず、相手はパラオ政府の大臣です。
しかし、始まってしまえば堂々のプレゼンです。実は吉岡さん、前職は中学校の英語教師。このキャリアを生かし、大臣と直接英語でやりとりします。
◆人的資源・文化・観光・開発省 ニライベラス・メトゥール大臣
「TーPLANのようなガソリン車を減らす解決策を提案してくれる会社と協力するのは重要なこと。彼らが問題を解決して温暖化対策の手助けをしてくれることを願っている」
吉岡さんたちは今後も渡航を続け、2025年7月ごろまでにパラオ国内3か所に設備を設置する予定です。
そこからおよそ1年間、実際に電気自動車を走らせた上で利用者の声を聞くなどする実証実験を行っていきます。地球温暖化による海面上昇などの環境問題に直面するパラオ。この国の脱炭素化に貢献するため、TーPLANの挑戦は続きます。
◆TーPLAN 吉岡稔さん
「その人たちのためになるビジネスをやって、社会にもメリットがある現地の人にもメリットがあるみたいな形ができると良いなと思う。ビジネスとして新しいマーケットになれば新しい可能性がある思うので、そういうことができたらいい」
<取材したTOSの児玉直輝記者>
島国のパラオには電車やバスといった公共交通機関はなく、移動は車が中心です。
T-PLANの事業が進めば、電気自動車により、観光客が利用できる交通手段を充実できる可能性があります。
また、ガソリンは輸入に頼っているため、輸送コストがかかり、高騰していましたが、太陽光発電によりエネルギーの地産地消が実現できれば現地の人たちの家計の負担軽減につながることも期待されます。
引き続き、T-PLANの挑戦を取材していきたいと思います。