千曲市 戸倉上山田温泉のシンボル 駅前の「アーチ看板」劣化進み姿消す「こりゃ寂しいね。戸倉駅じゃないみたい」
長年親しまれた温泉街のあるものが、最後の日を迎えました。旅先に行くとくぐってみたくてワクワクするあのシンボルです。
小学生
「ありがとうございました!」
お礼を伝えて、一緒に記念撮影。地域学習の一環で訪れた、アーチ看板です。
千曲市のしなの鉄道戸倉駅前。看板は、戸倉上山田温泉に訪れる観光客などを出迎えてきました。
観光客(青森から)
「風情があっていいなと思う」
「何か駅から降りてパッと見たときに温泉に来たって感じしますから」
千曲市によりますと、いつ建てられたのかはっきりとした記録が残っておらず、今の駅舎が完成した52年前には、すでに初代の看板があったといいます。
こちらは、二代目。
半世紀以上、観光客を歓迎してきた看板は今、経年劣化が進み、文字板の落下の恐れも。また、現在の道路管理に関する法令規定では、安全のため、県道へのアーチ看板の設置が認められておらず、修繕や改修による存続は、難しいと判断されました。
4日迎えた最後の1日に、カメラを向ける人も。
温泉宿の送迎ドライバー
「30年この上山田に勤めてますから、なくなるのはちょっとね。1枚くらい写真は撮っておこうかなと思いましてね」
Q.温泉街で働く方にとってのこの看板はどんな存在?
「シンボルじゃないですか、だってでっかく上山田温泉って載ってますからね。ああいうサビも、また味があるというのでね。これがなくなれば本当に寂しくなりますよね」
撤去開始は、大勢が寝静まった深夜。人通りがほとんどない終電後。アーチ看板がある県道を通行止めにする必要がありました。
駅に降り立つ人を照らした電球。約200個をひとつひとつ取り外す
撤去する業者は
「まさか自分の手で撤去するとは。高校時代もここから電車に乗って通ってましたから。若い頃、東京の方に働きに行っていたので、これが光っていると、あ~帰ってきたなっていう故郷に帰ってきたなって思いは常に持ってましたけども」
撤去作業は夜通し続き…。
「おろせ~」
アーチ看板 横幅14.6メートル 始発前に撤去完了
近所の人
「すっきりしちゃった、こりゃ寂しいね。へ~、戸倉駅じゃないみたい。これ多分、久々来た人とか、あれ駅間違えた?とか思うかもしれない」
長野市から(駅近くに職場)
「これからまたここ来たら、戸倉ってどういうところなんだろうって分かるようなね、何か象徴するようなものになってもらったら本当はありがたいと思いますけどね」
半世紀以上、戸倉上山田温泉のシンボルとして大勢の観光客を迎えてきたアーチ看板。
千曲市では、戸倉駅前に何もないのは寂しいという市民の声が多く寄せられていることから、代わりのモニュメントの設置も検討しているということです。