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【特集】「霊峰 御嶽と生きる」⑤教訓生かす…火山防災のいま 専門家と地域の連携 「よく理解する正しく恐れること」

2024年9月27日 15:21
【特集】「霊峰 御嶽と生きる」⑤教訓生かす…火山防災のいま 専門家と地域の連携 「よく理解する正しく恐れること」

御嶽山の噴火災害から27日で丸10年。シリーズでお伝えしている「霊峰 御嶽と生きる」。火山防災への取り組みとその現状です。

2014年噴火 

死者58人行方不明者5人。

戦後最悪の火山災害となった、あの日から10年…

多くの犠牲者を出した火口近くの「八丁ダルミ」や、山頂の剣ヶ峰付近には、噴火後、あわせて7つのシェルターが設けられました。

山頂には、非常時に呼びかけるための防災無線を新たに設置。登山者の安全対策が進められています。

現在、日本の活火山は111か所、県内には6つあります。このうち御嶽山をはじめ、浅間山、焼岳、乗鞍岳の4つは「常時観測火山」と呼ばれ気象庁が24時間態勢で観測しています。

信州は、国内有数の火山県です。

木曽町にある御嶽山ビジターセンター「さとテラス三岳」。噴火災害の教訓を生かそうとおととし完成した施設です。その一角に名古屋大学の火山研究施設があります。

名古屋大学 御嶽山火山研究施設 金幸隆特任准教授
「これはリアルタイムの地震波形ですね」

噴火災害を受けて、御嶽山に設置された地震計や監視カメラなどの観測点はおよそ40か所に増えました。

モニターにはリアルタイムで観測データが映し出されます。火山活動を高い精度で読み解くための研究がここで行われています。

名古屋大学御嶽山火山研究施設 金幸隆特任准教授
「地下の構造がかなりわかって来た。じゃあこれからいつ噴火するかということまではなかなかお話しできるだけの十分なデータはない。しかし、かなり観測設備は名古屋大学としても力を入れて整備してきているので、そういったデータが今後どのように火山活動の推移としてあらわれてくるのか推移を見守っていかなきゃいけないまだ研究途上だと思ってほしい」

噴火後、名古屋大学は県からの要請を受ける形で麓の木曽町に研究拠点を置き、おととし、今の場所に移りました。

目的は地元との連携による”防災力の向上”。

名古屋大学 御嶽山火山研究施設 金幸隆特任准教授
「2014年噴火当時は地元に専門家がいなかった。だから地元の方々が相談する人がいなかった。(研究施設を置いたことで)地元の関係機関、そういう人たちと顔の見える関係が築けた、常にさとテラス三岳を活動の拠点として、みなさんがここに集まって話し合いができる。そういう関係性ができたのが大きな成果だと思う」

こうした連携をほかの活火山でも行うべきだと訴えます。

名古屋大学 御嶽山火山研究施設 金幸隆特任准教授
「これをもし可能であれば長野県内、焼岳、乗鞍岳とかほかにも活火山あります、ひとつひとつ置けばいいかは少し難しい問題あるかもしれないがやっぱり全体を観れる火山の研究施設とか、防災に役立つような大学と連携した施設があれば長野のためになるんではないかと思っています」

いま、こうした研究拠点があるのは県内には御嶽山と浅間山だけ。研究者不足を背景に、専門家の育成が課題となっています。

御嶽山が噴火した9月27日、県は去年、この日を「信州 火山防災の日」に制定しました。噴火災害を風化させることなく、火山防災への意識を高めることが狙いです。

9月、浅間山の麓で行われた記念イベントでは、過去の噴火災害を伝えていく重要性を、専門家が訴えました。

日本大学文理学部(火山地質学)安井真也教授
「普段は火山の恵みを享受しながら豊かな自然と生きるということだが、(浅間山は)静かな状態が60年以上続いているので、活火山であることを忘れないことが大事で、特に知らない若い世代に伝承しなければいけない」

火山活動が活発だった1950年代の浅間山。

地元住民は(軽井沢町在住)
「写真にあるように、窓の木枠、雨戸が付いていても雨戸が飛ばされた」

最近では2004年に小規模なマグマ噴火、2015年や2019年には水蒸気噴火が起きています。

自然の恵みを育む一方で、時として大きな災害をもたらす活火山。

日本大学文理学部(火山地質学)安井真也教授
「よく理解する、正しく恐れるということも大事なことだと思います」

御嶽山での教訓をこれからの火山防災につなげていくこと、それが10年後のいま、求められています。

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