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【佐久市中3死亡ひき逃げ】まもなく10年 最高裁 懲役6か月の実刑判決が確定 長野地検「本判決を踏まえて引き続き適正な捜査、事件処理に努める」 専門家「最初の裁判で救護義務違反罪も併せて起訴すれば、ここまで時間かからなかったんじゃないか」

2025年2月20日 19:51
【佐久市中3死亡ひき逃げ】まもなく10年 最高裁 懲役6か月の実刑判決が確定 長野地検「本判決を踏まえて引き続き適正な捜査、事件処理に努める」  専門家「最初の裁判で救護義務違反罪も併せて起訴すれば、ここまで時間かからなかったんじゃないか」

佐久市で中学3年生の男子生徒が車にはねられて亡くなり、来月で10年。車を運転していた男に対しては、3回目の裁判でひき逃げの罪が問われ、最高裁が下した実刑判決が18日確定しました。

最初の裁判では罪に問えなかったことから、この判決が与える今後の初動捜査への影響を長野地検に問うと、「本判決を踏まえて、引き続き、適正な捜査、事件処理に努めてまいりたい」とコメントしました。

※最高裁 廷内 
「判決宣告します。主文。原判決を破棄する」

二審の無罪判決を取り消し、逆転有罪を言い渡した最高裁。

亡くなった和田樹生さんの母・真理さん
「あの判決を聞いた瞬間、涙があふれました。非常にこの判決を聞くまで長くかかってしまったんですけれども」

和田樹生さん当時15歳。

高校入学を目前に控えた2015年3月。佐久市で車にはねられ、亡くなりました。車を運転していた被告の男は、過失運転致死の罪で有罪判決が確定。

被告は事故の後、自身の飲酒運転の発覚を避けるため、口臭防止用品を買いに、コンビニに立ち寄ったことが分かっていましたが、この時、被告の行動が救護義務違反、すなわち、ひき逃げに問われることはありませんでした。

(※2015年9月 署名活動)
樹生さんの父和田善光さん「署名お願いします」

両親は10年前から、ひき逃げに当たるのではないか、と訴えていましたが、捜査が進むことはありませんでした。

8年前、両親は独自の調査結果を基に、長野地検に再捜査を求めましたが、翌年に出された結果は不起訴。

6年前、抽選で選ばれた国民11人が不起訴処分の良し悪しを審査する検察審査会では、不起訴不当となりましたが、長野地検は不起訴としました。

その後も再捜査を求め続け、3年前の時効直前。長野地検が、ひき逃げの罪での在宅起訴に踏み切りました。

一審は、懲役6か月の実刑判決を出しましたが、おととしの二審判決では逆転無罪。

※最高裁 2月7日、最高裁が無罪を取り消し、18日、一審で出された懲役6か月の実刑判決が確定しました。

國學院大學法学部 甘利航司 教授
「最初の過失運転(致死)の起訴の段階で救護義務違反罪も併せて起訴すれば、ここまで時間かからなかったんじゃないかなっていう感じがします。通常、検察官のマニュアルみたいなものにおいては、事案が重たい場合は過失運転致死と救護義務違反で併せて起訴するって普通言われている話なので、そもそもなぜ救護義務違反罪で当初、起訴しなかったかっていうのすごく問題になると思います。ただいずれにせよ最高裁は10年経ってますけれども、最終的に、いわば、検察の過誤があったんだけれども、そういったものをいわば埋め合わせる議論を今回やったと理解しております」

長野地検に、2015年の裁判で道路交通法の救護義務違反に問えなかった理由を訪ねると、こうコメントしました。

「個別事件における捜査の内容にわたる事項であるので、お答えしかねる。」

一方、この判決が与える今後の初動捜査への影響は…。

「本判決を踏まえて、引き続き、適正な捜査、事件処理に努めてまいりたい」

2月15日。和田樹生さんの両親は、墓前に最高裁の判決を報告しました。

和田真理さん
「これまでも姿のない樹生と5人で生活していたつもりではあったんですけれども、これまでずいぶん裁判のことなどで娘たちに兄を失ったうえに裁判が長く続くことで娘たちへの負担も大きかったと思うので、できるだけ家族の時間を大切にしながら穏やかな気持ちで過ごしていけたらいいなと思います」

和田善光さん
「ここまで10年近くもかかってしまったこと本当に申し訳ない。すまなかったと伝えた。裁判は一区切り、家のことについてはしっかりともう一度ですね家族の絆ではないですけど確かめながらうちは5人家族だと、樹生を含めて5人家族だと…このあと助け合いながら生きていきたい」

3月23日、樹生さんのひき逃げ事件から10年が経ちます。

最終更新日:2025年2月20日 21:05
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