【グップラ①】着物を洋服にリメーク 岩手・久慈市の縫製会社 新たな命吹き込む
今週は地球のためにいいことを考える、SDGsな1週間、「グッド・フォー・ザ・プラネット・ウィーク」、略して「グップラ」です。
日テレ系の様々な番組を通して「地球にいいこと、人にいいこと。」を考えます。
プラス1でも県内の取り組みをシリーズでお伝えします。
1回目の4日は着なくなった着物を洋服にリメークする岩手県久慈市の縫製会社を宮古支局の佐藤記者が取材ました。
エレガントなワンピースにカジュアルなジャケット。目を引くのはこの和柄です。
こちらの洋服、実は着なくなった「着物」を再利用して作られています。
洋服を仕立てているのは久慈市にある縫製会社「いずみ」です。
「いずみ」では、2023年10月、新しいブランド「wappi」を立ち上げました。
袖を通す機会が無くなった着物を洋服としてリメークし、新たな命を吹き込む取り組みです。
寿松木亨社長
「着物の気持ちになると、気持ちあるかどうか分からないですよ。だって嫌じゃないですか。ずっと暗いところでこんなになって…。それに、新しく何か形を変えてでも命というか、新しい機会をあげて、新しい方法として世の中の役に立てるようになれば良いなと思ってました」
着物のリメークは依頼主から寄せられた着物を預かるところから始まります。
お客さん
「(嫁入りの際に)結構いろんな 着物を持たせてくれたんですよ。 だけどもなかなか1回も着なかったり。ですから『もったいないな』と思って…」
そして、着物に込められた思いに耳を傾けながら、ワンピースやシャツ、小物などに仕立て、再び依頼主に戻します。
(社長による説明 )
「1着の着物をほどきます。そしてパーツ、パーツにします。やっぱり、ほどくにしても技術と経験が必要なんです。そうしないと、うまくパーツが作れなくて破けて変な形になったりしますので、全てをほどいてからこの柄を合わせて、製品、物にしていきます。そしてそこにはやっぱり、持ち込んだお客さんの気持ちも 大切にして、物を作るという気持ちを持って私たちはモノづくりしております」
久慈市を含む県北地域は、「アパレルの聖地」を掲げて国の内外に縫製技術の高さをアピールしています。
「いずみ」は繊細な技術が求められる子ども服を中心に製造していて、世界的な有名ブランドから発注を受けるほどの高い技術力が強みです。
しかし、「着物リメーク」の実現には課題もありました。
どのように着物の柄を生かしつつ、洋服として違和感のないデザインに仕立てるのか…
頭を悩ませました。
そこで協力を仰いだのが、以前から寿松木社長と親交があった元お笑いコンビ「ザブングル」の松尾陽介さん。
現在はアパレルのデザインなどを手掛ける会社を経営しています。
松尾陽介さん
「(着物は)割と魅力的なデザインも多いですし、生地も立派な生地が多いので、そういう事を洋服とコラボすることで若い世代にも知ってもらいたい、そして若い世代が普通に『斬新で新しいな』『かっこいいな』と思えるようなデザインを意識して作りましたね、今回は。そうして着物がまた生き返ってくれれば良いなと。そういう思いでした」
着物の柄と洋服が調和した商品。私も着てみました。
佐藤淳也記記者
「着物の柄がジャケットに丁寧に落とし込まれています」
背中には白と赤のボタンの花があしらわれ、雅な印象のジャケットに仕上がっています。
一方、着物のリメークは障がい者の就労支援にも。
「いずみ」は、市内の就労支援施設「松柏園」にリメークする着物のクリーニングを委託。障がい者の活躍の場を広げることにも貢献しています。
松柏園 渡辺和光 施設長
「一人一人が(仕事に)取り組んでるんですが、やっぱりそれがやりがいとか、 達成感というところにむすびついてるわけで、それが数を重ねることによって、 自信につながっていくと。最終的には地域の一員として、 自信をもった生活につながっていければなというところで進めております」
SDGsの推進、そして、地域活性化の起爆剤としても期待される着物のリメーク。
寿松木社長が目指すものは…。
寿松木社長
「日本国内の若者、日本に住んでいる外国の人達。 全ての人達にまず良さを分かって欲しい。良いものだっていうことを理解してもらって、それから海外に向けても発信していきたい。」
「いずみ」では今後、中国で行われる商談会への参加などを通じて着物をリメークした商品の魅力をPRすることにしています。
着物のリメークの問い合わせは有限会社いずみ電話番号0194-53-2281までお願いします。