【グップラ③】山林の間引き作業で生まれる木材を木工品に 女性グループが木のぬくもりと発想力生かして 岩手県九戸村
続いて、地球のためにいいことを考える、SDGsな1週間、『グッド・フォー・ザ・プラネット・ウィーク』、略してグップラです。3回目の6日は、山林の間引き作業で生まれる木材の活用に取り組む岩手県九戸村の女性グループを成田記者が取材しました。
木の表札を製作していたのは、2023年4月に九戸村に住む女性たちで結成された『KUNOHE木工女子部』です。メンバーは、発起人でリーダーの上野早紀さん。
そして、福島多恵さん、水上千文さんの3人です。
福島多恵さん
「いいですね…かわいいです。もっとこれから色んな形もできそうだなって…」
このほか、おしゃれなコースターに。コーヒー豆や粉の量を量るスプーン。子どもたちが喜びそうなユニークな形をした積み木。手掛ける木工品は木のぬくもりと発想力を生かしたものばかりですが、使われている木材にある特徴があります。
上野早紀さん
「放置された森を良くしていくためには質の悪い木から切っていかなくてはならないので。どこにも売れない木なんですね 質が悪いから。それを山の中に放置しておくのはもったいないなと…」
上野さんは神奈川県出身、村の地域おこし協力隊を経て森林整備などを手掛ける法人の代表を務めています。地主と契約した山林で木を間引く『間伐』を行いながら木材を調達します。
面積のおよそ75%を山林が占める九戸村。『林業』が基幹産業の1つになっています。『間伐』は、質の高い木を生産するための大切な作業です。密度が高くなった山林から木を間引くことで太陽の光がよく当たり、1本あたりの幹や根が太くなります。
この過程で生まれるのが商品価値の低い「間伐材」です。「未利用材」とも言われます。放置しても土にかえるため切った木を持ち帰らないケースが多いと言います。
上野早紀さん
「上で二股に木が分かれてしまっているようなやつ」「まっすぐな木は価値が高いと思うんですけど、曲がっている木とかはあまり価値のつかない不良木」
『KUNOHE木工女子部』は素材の調達から加工、販売までを一貫して行っています。生産者の顔が見えるものづくりを一番の売りにしていますがそれは3人のチームワークがあってこそです。
東京都出身の福島さんは商品やパッケージのデザインを担当。大学生時代に独学でイラストを学び、村の地域おこし協力隊だった時は地元の高校のホームページの制作などを手掛けました。
福島多恵さん
「やさしい、ゆるいデザインが多いです」「それを手に入れたら楽しくなるようなワクワクするようなものをつくるように頑張っています」
そして、九戸村出身の水上さんは地元の建築土木会社の社員。レーザーで文字やイラストをイメージ通りに仕上げる緻密な作業を得意とします。
水上千文さん
「(木材を)何に使うかっていう のをこっちで考えるのも楽しいし、それをみんなが『あ~そういうのもあったんだ』という気づきとかにもつなげていけたらそれも楽しい…」
楽しさも原動力にしながら活動を続ける『KUNOHE木工女子部』。PRにも力を入れていて、ことし春には、県庁で出張販売会も。クリの木を使った名札など評判は上々でした。
「ありがとうございます…」
県庁の職員
「岩手の木を使っていろいろなことをやるところが、うまく資源を生かしているというかすごくいい取り組みではないかと思ってました」「岩手の主要な産業なので、盛り上がっていけばいいなと」
林業を元気にしたいと集った女性たち。太陽に向かって伸びる木のようにぐんぐん成長を続けています。
上野早紀さん
「木材を生産する側もそうなんですけど、消費者の方にこの木がどこから来てどうやって取られた木なのかっていうところまで思いを馳せていただいて、 そういう 作る責任使う責任っていうのが皆さんに浸透していけば」「未利用材で商品を作って、それを広げていくっていう。結果として豊かな森が残ればいいなって思います」