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【海街リポート】「ほんまる茜市」で陸前高田にぎわいづくり 地元商店主たちが市中心部で試験開催 来年から本格開催へ 岩手・陸前高田市

2024年10月18日 15:52
【海街リポート】「ほんまる茜市」で陸前高田にぎわいづくり 地元商店主たちが市中心部で試験開催 来年から本格開催へ 岩手・陸前高田市

 東日本大震災の被災地のいまを伝える「海街リポート」は、津波で大きな被害を受けた陸前高田市です。人通りの少ない商店街に人を呼び込もうと9月、夕方の商店街に屋台が並ぶ「茜市」が開かれました。先頭に立って取り組む地元商店主の思いを取材しました。

気仙沼市の家族「楽しんでいますか?」「は~い!」
外国人男性「おみやげと、食べ物とスムージー(を買った)」
地元の親娘「茜市、最高~!」

記者「空が茜色に染まる時間、陸前高田市の中心部には出店並び、多くの人たちが買い物やグルメを楽しんでいます」

 陸前高田市中心部の商店街の通り通称「本丸公園通り」に人を呼び込もうと開かれた「ほんまる茜市」です。来年から、本格的に開催しようと、9月、試験的に開かれました。

 企画したのは、地元の商店主です。茜市に込めた思いとは…。

「ほんまる茜市」の実行委員長、橋詰 真司さん(48)です。

 東日本大震災の津波で、当時営んでいた食品の問屋を流された橋詰さんは、おいしい食事で復興を後押ししたいと、震災後に自宅の敷地でお惣菜の販売をはじめました。

 3年前、中心部の商店街に店を構え、毎日変わる自慢のおかずを昼から夜まで販売しています。しかし…。

橋詰 真司さん
「3時過ぎちゃうと車も少ないですし人も歩いていない状況なので。高台の方にみんな住宅があるので、ここは商業エリアになってまして、ふっと行けるような感じではない車で行こうかなって場所なので」

 震災の津波で大きな被害を受けた陸前高田市の中心部では、より安全な街の土台をつくるため10メートル以上のかさあげ工事が行われました。最初の商業施設「アバッセたかた」ができたときには、震災から6年が過ぎていました。

 アバッセの周りには、少しずつ商店が増えていきましたが、すでに多くの人が住まいを高台のエリアに建てるなどして、中心部周辺はいまも空き地が目立ちます。

 そこで橋詰さんは、商店街まで足をのばしたくなるような仕掛けを作らなくてはと、アバッセや商店街に面した「本丸公園通り」でイベントを開こうと考えました。

実行委員会のみなさん「復興した街ににぎわいを」。

 通りの商店主たちも、橋詰さんと同じ気持ちでした。仲間と話し合う中で、ある催しが頭に浮かびました。

 盛岡市の材木町商店街で、春から秋にかけて毎週土曜日の夕方に開かれている「よ市」です。橋詰さんたちと同じように、地元を盛り上げようとした盛岡の人たちが半世紀前に始めた催しです。

 実際に足を運んだ橋詰さんは、「よ市」の活気に「希望」を感じました。
「運営方法を教えてください」と「よ市」の担当者に直談判すると、復興に役立つならばと快く知恵を貸してくれました。心強い応援を受けながら、出店者を募るなど準備を進めた橋詰さんたちは、先月、試験開催にこぎつけました。

ほんまる茜市実行委員長橋詰真司さん
「我々が変化していかないと街って変わっていかないんだろうと思っていて、ようやく復興している中で、【歩みを止めない】っていうのが一番大事」

 いつもは人通りが少ない「本丸公園通り」周辺に人が集まってきました。

橋詰真司さん「よろしくお願いします!よ~いスタート!」

 午後3時すぎ、歩行者天国になった通りには、地元・陸前高田の店を中心におよそ30の店が並びました。

神田葡萄園
「神田葡萄園と申します」「今うちが出しているワインの飲み比べセットをご用意しています。あといまブドウの時期なのでブドウをこの場でしぼって提供するジュースをお出ししてます」

「うまい!」

菅久菓子店
「菅久菓子店と申します」「きょうは焼きたてのパイを販売するところです」「結構上の方に(家を)建てた方が来たりしているので、いろんな人に会えるのも楽しみの一つですけどね」

俺っ家
「公友館俺っ家という街中で居酒屋とかいろんなお土産品を販売してました」「気仙の郷土料理、紅葉漬けというサケとイクラの俺っ家の味で販売してました」「何か起爆剤が欲しいと待ちかねていたんですが」「参加しながら盛り上げていくのが一番大事だと思う」

 橋詰さんたちは、訪れた人たちがゆっくりできるようテーブル席を設け、暗くなっても大丈夫なように照明器具も用意しました。

 お客さんの反応は…。

「楽しいですね」「お子さんたちも喜びます?」「すごくふふふ喜びますね」
「この子たちが大人になった時に私と同じく、楽しい思いができればいいなと思いますね」

 いつもは静かな通りに、元気な声が響きました。

 この日、およそ1000人が訪れた「ほんまる茜市」は、出店が少ないことや雨の日の対策など課題はありますが、来年からは春と秋の毎週土曜日に開催することが決まりました。

橋詰さんはうれしそうに通りを眺めていました。

ほんまる茜市 実行委員長 橋詰真司さん
「いや~いいよね、なんかこうイベントというか日常でありたいような感じがするよね」「いまスタートを切ることが一番大事で、これが10年20年子どもたちが、我々くらいの年になった時にも子どもを連れてね、来るようなものを描きたい。それだけのためにやってるような感じかな」

 復興した街に人が行き交い、茜色に染まる笑顔があふれるように。にぎわいを未来につないでいきます。

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