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1冊の小説に半年かかることも 点字の翻訳作業を70年以上続けている山形市のボランティア団体

2025年2月12日 18:16
1冊の小説に半年かかることも 点字の翻訳作業を70年以上続けている山形市のボランティア団体

1冊の小説の点訳に半年かかることもある点字への翻訳作業。それでもやりがいを感じ、70年作業を続けている山形市に拠点を置くボランティア団体「山形点訳赤十字奉仕団」の活動を取材しました。

山形市にある県立点字図書館。点字本が2万6000冊収蔵されています。

図書館職員 岡田由希さん(50年前の点字は手打ちだったんですか?)「そうですね、手打ちです。だから日本でこの1冊だけしかない」

図書館に収蔵されている点字本のほとんどが山形市に拠点を置くボランティア団体・「山形点訳赤十字奉仕団」が作ったものです。

山形点訳赤十字奉仕団 岸道子委員長「視覚障がい者の文字である点字はどんな時代でもなくならないしなくしてはいけないものだと思っているので点訳は私たちの使命」

奉仕団は1952年・昭和27年に前身団体が創設され、72年にわたって点字への翻訳、”点訳”活動を続けてきました。
単行本のほか、希望があれば、手紙や家電製品の取扱説明書なども引き受け、合わせて90万ページ余りを点訳してきました。
現在の団員数は県内外の65人。中には創設当初から現在まで70年以上点訳を続けている人もいます。一方、文法など、点訳には点字独特の難しさがあるといいます。

山形点訳赤十字奉仕団 岸道子委員長「点字はかな表記なので『わたし』というか『わたくし』というか。『がけした』か『がいか』か。文章でどちらにするか…もう頭が痛くなる。でも楽しい、だから楽しい。漢字の読み方を区別すれば読者にも臨場感が伝わる文章になると思う」

点訳は団員がそれぞれ、自宅などで行っています。点字は、点を打つ位置などを少しでも間違えると意味が通じなくなるため、作業には正確さが必要です。
およそ300ページの小説の点訳が終わるまでには早くても半年はかかるといいます。

団員たち「地道でコツコツなんですけどやっていて楽しい。楽しいから続けられる」
「退団者はあまりいない。地道な作業なんですけど」

図書館で毎月点字本を借りている山形市の長沢ハツ子さん(82)。10代で進行性の難病を患い、50代で失明しました。60代になった頃から本格的に点字本を楽しむようになりました。

長沢ハツ子さん(好きな本のジャンルは?)「藤沢周平さん。ぜーんぶ全国から点字本を取り寄せて読ませてもらった。皆さんがテレビを見るのと同じように私は常に点字本をそばに置いていないと不安なくらい。わたしの親友です!」

山形点訳赤十字奉仕団 岸道子委員長「その本に合った読みやすい点訳本を作るということは機械にはできない。点字本はまだまだ足りない。だから私たちの仲間がもっとほしい」

視覚障がいがある人たちも本の世界を楽しめるようにー。奉仕団はこれからも地道に点訳を続けます。。

最終更新日:2025年2月12日 19:23
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