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津波への備え 鶴岡市の沿岸地域で住民組織が独自に取り組む 冬の災害対策も

2024年3月11日 18:33
津波への備え 鶴岡市の沿岸地域で住民組織が独自に取り組む 冬の災害対策も

東日本大震災では甚大な津波被害が発生しました。山形県内でも能登半島地震で「津波警報」が出されるなど津波への備えが求められています。こうした中、鶴岡市の沿岸地域では、住民組織が独自で災害への備えに取り組む動きが出ています。

能登半島地震では県内沿岸部に「津波警報」が発表されました。津波に関する警報が県内に出たのは31年ぶりで、庄内地域の住民5000人余りが避難しました。

加茂地区自治振興会斎藤正哉会長「山形県沖の5年前の地震の際もそうだったが、今回の方がずっと身に染みてやっぱり避難を改めて再認識した」

海岸近くに住宅が立ち並ぶ鶴岡市の加茂地区では、津波警報が発表されると住民の多くが、災害発生時にまず避難する最寄りの高台などのいわゆる「一次避難所」に逃げました。迅速に避難ができた一方で課題が見えてきたといいます。

斎藤会長「一次避難所は加茂地区だとほとんどが屋外。逃げるときはもう着の身着のままだからジャンパー位着たって寒さは耐えられない」

鶴岡市沿岸地域では、津波の「一次避難所」の多くは建物がない屋外です。加茂地区では今回、厳しい冬の寒さのために長時間、一次避難所にとどまることは難しい状況だったといいます。

また、災害で住まいを失った人を長期間受け入れるいわゆる「二次避難所」に指定されている「加茂コミュニティ防災センター」にはおよそ300人が避難しましたが、備蓄している食料品などは全員分ありませんでした。

当時、鶴岡市の避難指示は津波注意報が解除される翌2日の午前10時まで出されていましたが、避難した人たちは全員、避難指示の解除前に自宅へと戻ってしまっていました。
こうした事態に避難所の備蓄が足りないことを痛感したといいます。

斎藤会長「非常食とか備蓄しておけばよかったと思う」

加茂地区の自治会では今回の教訓を踏まえ、来年度初めて、災害時の備蓄品購入に充てる予算を組むことを決めました。寒さ対策のほか、食料品や簡易トイレなど何が必要となるか住民間で話し合い、備蓄品を購入する予定です。

斎藤会長「各家庭でカップ麺とか缶詰は少しはあるかもしれないが能登のように家屋が倒壊して取り出せない可能性もあるのである程度、備蓄しておかないといざというときに動けないというのが一番困ると思う」

しかし、自治会の予算には限りがあるため、1年で住民全員分の備蓄品を揃えることは難しいといいます。こうした中、能登半島地震での経験を踏まえ、有事の際、地区を越えて住民同士が支援し合おうという動きも新たに出ています。

斎藤会長「加茂・大山・西郷・湯野浜地区と大規模震災時における相互応援における協定書というのをいま案として4地区で話し合っていて進めている。全て行政におんぶにだっこはできないので自分たちでやれるところはやるしかない」

住民独自で共助の動きが進む一方、県は津波避難に関わる設備の整備を前倒しで進める方針です。

県防災危機管理課岩瀬一課長「津波避難路に設置している誘導灯を市町が整備する際の補助を令和2026年度までに実施を予定していたが避難誘導路の整備を前倒しで来年度のうちに全て実施したい」

また、県内では現在、冬の間に災害を想定した自治体レベルの住民避難訓練を行っている市町村はありません。しかし、東日本大震災や能登半島地震がいずれも冬に発生していることを受け、県は今後、市町村と連携して冬の期間に訓練を実施することも検討していく方針です。

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