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津波警報発表の山形県内 住民5000人が避難 帰省中の若者に付き添われ迅速に

2024年1月4日 18:12
津波警報発表の山形県内 住民5000人が避難 帰省中の若者に付き添われ迅速に

元日に発生した能登半島地震では県内に津波警報が発表されました。県内沿岸部に津波に関する警報が出されるのは1993年の大津波警報以来となりました。庄内沿岸部の住民5000人余りが避難した今回の地震を振り返ります。

石川県で最大震度7を観測した元日の能登半島地震。県内では鶴岡や酒田などで最大震度4を観測しました。

山形地方気象台工藤則安防災管理官「現在、県内に津波警報が発表されています。津波による被害の恐れがあります」

1日午後4時22分、県内沿岸部に津波警報が出されました。県内に津波に関する警報が出されるのは1993年の北海道南西沖地震での大津波警報以来となりました。
酒田市飛島では津波警報発表から35分後の午後4時57分、第一波の20センチの津波が到達。酒田では午後5時12分に第一波の20センチの津波が到達しました。飛島では午後5時12分に観測史上最大となる40センチの津波が。酒田では午後7時8分に今回の地震では最大の80センチの津波が観測されました。鶴岡市鼠ヶ関では、津波は到達中と推測されましたが国土地理院が設置した観測計が故障していたため波の高さを観測できませんでした。

酒田市役所「飛島、16時57分津波0.2メートル到達」「被害無いんだな?はい」

この地震で、鶴岡市、酒田市、遊佐町の沿岸部の住民合わせて1万6500世帯、およそ3万7000人に避難指示が出されました。

酒田で避難した人「まだ水位が上がっているので、市役所に避難した」

鶴岡、酒田、遊佐合わせて最大でおよそ5000人が避難所に避難しました。
鶴岡市加茂地区の加茂コミュニティーセンターには午後8時前の時点でおよそ200人が避難しました。

鶴岡で避難した人「エリアメールが入って、避難してきた」
「山にいて様子を見ていたが、5時前に白波が押し寄せてきたのを確認した。前と違って引いた波がなかったから心配ないと思ったが、避難した」

住民の多くがスマートフォンに地震と津波の注意情報が入るとすぐに避難を開始したといいます。

加茂地区自治振興会斎藤正哉会長「避難は早かった。ちょうど正月休みで家にいたのも助かったのかなと思う。10分くらいで集まってきたので早かった」

加茂地区では津波の恐れがある場合、居住エリアを4つに分け、それぞれ最寄りの避難場所に逃げることを地域住民で確認してきました。各避難所の管理者は居住エリア内でつながるトランシーバーを使って避難状況などを共有したということです。

ただ、避難時の食料については自治体からの提供に時間が掛かる可能性もあるため、それまでに必要なものを備蓄しておく必要性を感じたといいます。

斎藤会長「教訓は各家庭で食料の備蓄、 非常食とかカップ麺を備蓄していればよかったと思う」

津波警報が解除され津波注意報に切り替わったのは翌2日の午前1時すぎでした。
津波注意報が解除されたのは2日の午前10時。避難指示もすべて解除されました。
この地震で、県内では酒田市の新井田川の河口付近に停められていた釣り船1隻が津波の影響で転覆しているのが見つかりました。人や建物への被害や水道、電気、ガスといったライフラインへの影響はありませんでした。

吉村知事「この1週間は余震も津波も来ることがあると思う。まだまだ警戒を続けてもらいたい」

41年ぶりとなる津波警報が発表された県内。酒田市の沿岸部の住民は避難の状況について年末年始で帰省していた若い世代に助けられたと振り返ります。

山居町83区自治会長小野英男さん(73)「来た人から順番に避難所に入れたが、高齢者も多く、歩くのも大変な人が多かった」「ただ幸いなことに、正月だから仕事にいっていない若い人が自宅にいた。遠くから帰ってくるとか。そういう人に付き添われて来ていた。通常であれば無理だなと」

一方で、酒田市からの避難に関する連絡が明確でなかったと感じた面もあったといいます。

山居町83区自治会長小野英男さん(73)「全国規模の情報は分かりますし、石川県の状況は理解していたが、酒田市民がどのタイミングで避難すればいいかは、酒田市からのゴーサインを待つ状態でした」

小野さんによりますと、市からはチャイム音で知らせるエリアメールでも市民に避難の情報が送られる想定でしたが、今回は避難指示のエリアメールが送られていたものの、チャイム音が鳴らなかったいうことです。
酒田市では防災行政無線などでも避難指示を呼びかけていたとしていて、エリアメールのチャイム音が鳴らなかったことについては「原因を調査中」としています。

酒田市危機管理監那須欣男さん「エリアメールが鳴らないのは問題かもしれませんが、あらゆる手段をもって情報獲得に努めていただき、緊急の避難をしてもらうことが大事」

酒田市では今回の地震での避難に関する対応について見えた課題などを検証し今後に生かしていきたいと話しています。

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