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能登半島地震で山形県内沿岸地域も5000人が避難 しかし避難指示解除前に多くが帰宅

2024年2月1日 18:23
能登半島地震で山形県内沿岸地域も5000人が避難 しかし避難指示解除前に多くが帰宅
能登半島地震では山形県内沿岸部にも津波警報が発表され、庄内沿岸地域の住民5000人余りが避難しました。県内では、避難指示が解除されないうちに避難した住民が自宅に帰ってしまうケースが多かったことが課題として浮き彫りになっています。

酒田市で30日、市が沿岸地域7地区の住民の代表から能登半島地震発生時の避難行動について聞き取りを行う会合が非公開で開かれました。その中で浮かび上がった課題はー。

酒田市那須欣男 危機管理監「避難所から早期に帰られる方々をどうしようかと」

能登半島地震では酒田市を含む県内沿岸地域に午後4時22分に津波警報が発表されました。

鶴岡、酒田、遊佐合わせて最大でおよそ5100人が実際に避難所に避難しました。

津波警報が津波注意報に切り替わったのは2日の午前1時15分。避難指示が解除されたのは、津波注意報が解除された2日の午前10時でした。
しかし、多くの住民が避難指示が解除される前に避難所から帰宅していました。

亀ケ崎コミュニティ振興会芳賀隆 副会長「一番高水位になったときの状況でみなさん各自判断して『もう来ないんじゃないかな』それに対して帰るなとはなかなか言いづらいものがある」

酒田市中心部には、一次避難所として指定されている6か所の「津波避難ビル」があります。これらのビルは民間が所有するため、一般の指定避難所と比べて水や食料といった備蓄が行政によって整備されていないことも避難者が帰宅せざるを得ない一つの要因だったと住民は振り返ります。

港南コミュニティ振興会小野英男 会長「水など備蓄もありませんし毛布やストーブとかそういったものが何もない。ご高齢の方が大変多いものだから家に帰ってご飯を食べて食後の薬を飲んで体を休めなければならない人が何人もいた。午後8時前にはみんな帰りました」

酒田市では原則として住民が各自で食料や水などを持って避難するよう呼びかけていますが、今回の地震では慌ててしまい食料などを持参するのを忘れてしまった住民も多かったといいます。
酒田市の那須危機管理監は、住民を避難所に留まらせることができない現実もあると話します。

酒田市那須欣男 危機管理監「津波警報が解除される前に帰すのはリスクがあることは現場の自治会長や自主防災会の方々もよく知っている。しかしながら帰さざるを得ない。帰したほうが高齢者の健康維持のためにはもしかしたらいいのかもしれないというジレンマがある」

こうしたケースは酒田市だけでなく、同じく津波警報が出た鶴岡市、そして遊佐町の避難所でも見られました。
このうち、遊佐町では当時、避難していた住民が全員帰ってしまったため開設していた2か所の避難所を1日の午後8時半には閉鎖したといいます。
今後は避難指示を出している間は原則として避難所を開けておくなど運用の見直しを図るとしています。
避難指示が出ているにもかかわらず、避難所に留まることができないジレンマ。
こうした問題について、地域の防災について研究する山形大学災害環境科学研究センターの熊谷誠さんは、地域と個人それぞれで避難が長期にわたることを見越した備えを日頃からしておく重要性を強調します。

山形大学災害環境科学研究センター熊谷誠さん「津波避難の場合には半日から1日など長期でその影響を見ながら避難指示や津波警報が解除されないことが考えられる。そういったときに身を寄せる場所で長期で滞在できる状況を地域でも各個人でも準備してもらうことが今後必要になってくる」

一方、酒田市は1日、市内の津波避難ビルに置く食料や水といった備蓄を今後、整備していく方向で検討していることを明らかにしました。

酒田市那須欣男 危機管理監「自助・共助・公助の観点からも基本的には自分のものは自分で持ってきていただく。ただし、出先でたまたまビルに逃げ込んだというパターンもあるので、そういったことも含めて予備として置かせていただければと検討して調整を進めていく」

県内では大きな被害が確認されなかった今回の能登半島地震。しかし、私たちの避難のあり方についてもさまざまな課題を浮き彫りにしました。
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