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山形県内の記録的大雨被害から半年 酒田市大沢地区の冬 22軒あった家は6軒に

2025年1月24日 18:04
山形県内の記録的大雨被害から半年 酒田市大沢地区の冬 22軒あった家は6軒に

去年7月の記録的大雨による災害から25日で半年です。甚大な被害を受けた酒田市の大沢地区で迎えた冬。復旧・復興へ模索を続ける被災した人たちの暮らしを見つめました。

大沢地区の中でも被害が大きかった北青沢。荒瀬川が大規模に氾濫し、土石流が集落を襲いました。
あれから半年が経過し迎えた冬、この日は70センチほどの積雪がありました。
数年前に古里を離れ、酒田市の中心部に住まいを移した相蘇悦子さん(74)です。家族で作業小屋の屋根の雪下ろしを行っていました。

相蘇悦子さん「誰もいないのよ。誰一人と。信じられないね。みんなバラバラになってどこへ行ったかも分からないし。大変なことが起きたものだ。今年こそは良いことがありますように」

大雨の後も古里に残り、農業を続ける荒生道博さん(68)。

北青沢・農業荒生道博さん「当初はやっぱりあの光景を見れば行政に対しても初動の遅さに対しては怒り心頭の時もありました。正直に」

川沿いのビニールハウスは奇跡的に水害を逃れました。雪で潰れないよう、除雪作業に追われる日々です。

北青沢・農業荒生道博さん「人が居なくなったというのが寂しくて。22軒あった家がいまかろうじて6軒。春にはまた1軒出て行って5軒しか残らなくてそれは寂しいですよ」

大沢コミュニティセンターでこの日、郷土料理が無償で振る舞われました。企画したのは酒田中央ロータリークラブのメンバーです。地区を離れ、仮住まいを続ける1人暮らしの人も集まりました。
大勢で食べるご飯に笑顔があふれます。

遠田恵美子さん(67)「やっぱりおいしいですね他の人から作ってもらうとなおおいしいです。何か楽しいの。楽しいよねー。久しぶりに会ったもんだから。この顔見てください。楽しい顔でしょう?ありがとうわーすごい!」

大沢コミュニティ振興会 後藤正一会長「ここに来てみんな集まっていろいろと情報交換して少しずつ元気もらって立ち直って行けばいいと思う」

楽しい時間もつかの間、いまは家族とは別に1人で仮住まいをする遠田恵美子さんが自宅の様子を見に行くということで同行しました。

遠田恵美子さん「うわー。これは中に入れるかな。」

被害が大きかった集落に残る恵美子さんの家。家族が前の週に家の雪片付けをしましたが、自宅はもう、雪に覆われていました。

遠田恵美子さん「なかなか進まないというのが半年。ほんとの気持ち。心の面で意外とみんなちょっと苦しくなっている。やっぱり土砂が来たのが夜になるとトラウマがまた来たりするから。思い出すの音が耳に残っていて。土砂がだーっと流れて来たから石がゴロンゴロンゴロンだドラム缶、木が流れて来る。あの時どうしたの自分何なのこれと思って。恐ろしい気分になって胸がドキドキするからちょっと切なくなって過呼吸までは行かないけど。考えると寝られない時もあるしね」

あの日の大雨は、集落の家々や田畑の被害以上に、住民たちの心に大きな傷を残しています。そしてその傷は、ほぼ手つかずのまま半年が過ぎようとしています。

最終更新日:2025年1月24日 19:16
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