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老舗給油所…70年の歴史に幕 89歳女性店主「さびしくなる」 3時代で地域見守る 山梨県

2024年8月1日 14:10
老舗給油所…70年の歴史に幕 89歳女性店主「さびしくなる」 3時代で地域見守る 山梨県

 社会のライフラインのひとつ、ガソリンスタンドが減少を続けています。県内では2012年度には461箇所ありましたが、2022年度には342箇所にまで減少し、10年間で4分の1近くのガソリンスタンドが姿を消しました。

 こうした中、南アルプス市で7月末で70年の歴史に幕を下ろす、ある老舗のガソリンスタンドを取材しました。

 南アルプス市荊沢で70年続くガソリンスタンド。経営するのは創業300年以上の「松田屋商店」です。宿場町として栄えた「荊沢宿」に店を構え、戦後はガソリンスタンドを営んできました。

 スタンドを切り盛りする望月弘子さん(89)は松田屋に嫁いでから、夫の峰雄さんと長年にわたりスタンドを支えてきました。

松田屋商店 望月弘子さん(89)
「私の代でやめてしまうのは、ご先祖さんに申し訳ないなという気持ちが一番ありました」

 しかし、峰雄さんが亡くなり跡を継いだ息子の淳さんも去年他界。地元の人からの需要は依然あるものの、施設の維持などを考えると89歳の弘子さんに営業継続の選択肢はありませんでした。

 ただ、そんな弘子さんに同業者が手を差し伸べます。 守りたかった屋号や従業員はそのままに、甲府市の会社が運営を引き継いでくれることになりました。

運営を引き継ぐ「ヤマシタ」山下高輝 社長
「われわれは灯油というものを販売していて、灯油の『灯』は“ともしび”で“あかり”なので、このともしびを消してはいけない。社会に合ったエネルギーというものをしっかり提供していって、そのエネルギーというのは一般の家庭エネルギーとかそういうことだけでなく、地域に対する笑顔だったり。そういったものもすべて含めてエネルギーを提供していきたいと思っています」

 富士川舟運が衰退した後にやってきた、モータリゼーションの大波。昭和~平成~令和と3時代にわたり社会の変化を見続けたスタンドは、長い歴史にいったん幕を下ろします。

地域住民
「ちょっとさびしくなっちゃうけど…」
望月弘子さん
「さびしくなるけどね…でも相変わらず頼むよ」

松田屋商店 望月弘子さん(89)
「地域の人たちに『松田屋さんはいなくなったけど、(ヤマシタに)代わってくれてよかった』と思ってもらえるようなスタンドになっていただきたい。それだけです」

(YBSワイドニュース 2024年7月22日放送)

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