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【特集】鉄道に自治体…対応に温度差も 南海トラフ地震臨時情報から1か月 求められる検証 山梨県

2024年9月10日 6:00
【特集】鉄道に自治体…対応に温度差も 南海トラフ地震臨時情報から1か月 求められる検証 山梨県

 気象庁が初めて「南海トラフ地震臨時情報」を発表してから8日で1か月が経ちました。戸惑う人も多かった中、県内の自治体や交通機関はどのように対応したのか振り返りました。

 8月8日、宮崎県の日向灘を震源とする最大震度6弱の地震が発生しました。この地震を受け、気象庁は巨大地震への注意を呼びかける南海トラフ地震臨時情報を初めて発表しました。

気象庁の担当者
「南海トラフ地震臨時情報巨大地震注意を発表しております。特定の期間中に大規模な地震が必ず発生することをお知らせするものではない」


 南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)は巨大地震の可能性が普段より高まっていることを示すものです。1週間以内に発生する確率が平常時の1000回に1回程度から、数百回に1回程度に増えると考えられています。確率にすると、0.1%パーセントが0.数パーセントになるくらいの変化です。

 初めて経験する“臨時情報”の発表に、県内の公共機関の対応には温度差がみられました。最も大きな対応をとったのは鉄道でした。

JR甲府駅構内のアナウンス
「現在、大月~茅野間を走行中のすべての列車、速度を落として運転することが決定しました」

 臨時情報に伴う注意の呼びかけが終了するまでの1週間、JR東日本は中央線の大月~茅野駅間で徐行運転を実施。さらに、JR東海は身延線の特急「ふじかわ」をすべて運休としました。

 JR東海によりますと、特急「ふじかわ」の運休は、臨時情報が出された際の対応として、従来から決まっていたことでした。ただ、ちょうどお盆休みの時期と重なったこともあり、1週間に及ぶ運休は沿線の観光業者に影響を及ぼしました。

JR身延線で身延町を訪れた観光客は
「本当だったら、ふじかわを使っていれば1時間弱くらい。それが1時間25分くらい(かかった)。ちょっと長かったです」

JR身延駅前の土産物店
「人通りが例年と全然違う。やっぱり少ない。遠くのいつも来られている方が車で来れる方はいいんですけど、年配の方がお見えにならないな、という印象がある」

 こうした鉄道会社の対応に、専門家は…

日大危機管理学部 秦康範 教授
「特急を運休したり速度を下げたり、かなり踏み込んだ特別な対応をしている。これについては対応が妥当だったか検証がなされるのではないかと考えている」

 また、自治体の対応も分かれました。

 県内最南端の南部町では毎日、各世帯に設置されている防災端末から注意を呼びかけた一方、身延町や早川町では発表翌日に1回のみ、防災無線で注意を呼びかけるに留めました。身延町の担当者は「過度に不安をあおらないよう、抑制的に呼びかけた」としています。また、市川三郷町では情報発表時に防災無線が壊れていたため、ホームページやSNSで注意喚起するに留まりました。

 一方、県は臨時情報の発令後、すぐに幹部職員が防災局に集まり協議を始めました。その会議は一晩中続いたものの、県民向けに情報が発表されることはありませんでした。

県防災局 伊藤公仁 次長
「臨時情報の発表を受けて直ちに防災局の中で打合せをした。その後、情報の収集や県民への呼びかけをどうするか協議した」

 結局、県が県民向けに情報を発表したのは、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)の発表から約19時間後、9日午後2時でした。

長崎知事(臨時記者会見)
「県民のみなさまにおかれましては、これまで通りの生活をしていただく中で改めて地震への備えを確認していただきたい」

県防災局 伊藤公仁 次長
「当時の状況を見ると、一番早い(対応だった)と考えている」

 私たちが初めて経験した南海トラフ地震に注意を呼びかける臨時情報。どのような対応が適切なのか、各機関の検証と対策のアップデートが求められます。

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