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【年金企画】「旅行なんかいつでも行けると言って、最初で最後に…」子ども2人を育てながらローン返済に追われ、支え合ってきた夫が急死 今は愛犬たちと暮らす女性の“大切な年金の使い道”とは?

2024年10月26日 18:00
【年金企画】「旅行なんかいつでも行けると言って、最初で最後に…」子ども2人を育てながらローン返済に追われ、支え合ってきた夫が急死 今は愛犬たちと暮らす女性の“大切な年金の使い道”とは?
年金受給者・佐伯三重子さん(76)

 2024年10月15日(火)は、2か月に一度の年金支給日。『ミヤネ屋』は、苦しい生活の中、前向きに生きる年金受給者に密着しました。夫をがんで亡くし、月約10万円の年金が唯一の収入だという女性の“生き甲斐”、そして“年金の使い道”とは―。

■支給されたばかりの年金を手に、いざ買い物へ!「鯛の子、3パック。贅沢(笑)」

 『ミヤネ屋』スタッフが大阪市内で出会ったのは、佐伯三重子さん(76)です。

Q.年金は入っていましたか?
(佐伯三重子さん)
「20万円。うふふ、今月は割と入っていました」

 佐伯さんの手には、年金が振り込まれた通帳と1万円札が!一か月の年金額は、約10万円です。

Q.今日、何か使う予定は?
(佐伯さん)
「買い物に行こうかなと思います」

 佐伯さんが向かったのは、行きつけのスーパー。テキパキと、欲しい物だけカゴの中へ。そして今回は、普段あまり買えないという物も…。

(佐伯さん)
「鯛の子。3パック」

Q.好きなんですか?
「1人分じゃないよ。友達にあげる。甘辛く、しょうがを入れて炊く。贅沢、うふふ(笑)」

 2か月に一度支給される年金が、唯一の収入だという佐伯さん。一人暮らしですが、“まるで我が子のような存在”と一緒に暮らしているといいます。

■出迎えてくれたのは2匹の愛犬たちと、一目惚れした小物のコレクション

 一体、誰と暮らしているのか―自宅にお邪魔すると、玄関から勢いよく飛び出してきたのは、愛犬のマミちゃん。

 さらに…!

(カメラマン)
「うわっ!!(笑)」

 部屋の奥からカメラマンに向かって来たのは、もう一匹の愛犬・エミリちゃん。

 築50年ほどのマンションの一室で、元気いっぱいの2匹と一緒に暮らしています。

Q.何年ぐらい、飼っているんですか?
(佐伯さん)
「もう7~8年ぐらいかな。元気、元気」

 ところで…。

Q.個性的な物が、いっぱい置いてあるなと…。
(佐伯さん)
「そうです、はい。結婚前から集めているものも、あります」

 可愛い人形や、ゴージャスな見た目の時計、ショーケースに飾られたグラスなどなど、一目惚れした小物をお安く買っては、自宅に並べているといいます。

 佐伯さんが部屋の奥から取り出したのは、中でも特に思い入れがある物。

(佐伯さん)
「父親が買ってくれたクマちゃんなんです」

Q.何歳のときですか?
(佐伯さん)
「もう小学校の頃です。大事に持っています」

Q.それから、そういう人形が好きになったと?
(佐伯さん)
「もう好きでね、もうほんとに」

■27歳で結婚した夫と支え合いながらローンを完済 幸せな生活が続くと思っていたが…

 佐伯さんは27歳のときに結婚し、10年ほど働いた会社を退職して、専業主婦に。現在暮らすマンションは、結婚を機に購入しました。

(佐伯さん)
「もう大変でした、ローン払うのに必死で。ローンを払うお金がなくて、あっちこっちでお借りしたぐらい」

 2人の子どもを育てながら、ローンを返済する苦しい生活。佐伯さんは、再び働くことを決意しました。

(佐伯さん)
「出産から4~5年して、子どもがちょっと大きくなってから。朝から昼までぐらい、完全にパートです。会社帰りに買い物に行って、ご飯こしらえに行って。その頃も、しんどかったですよ。2人、子どももいるし」

 それでも、決して裕福ではない生活を乗り越えられたのは、夫・五十三(いそぞう)さんがいたからだといいます。

Q.旦那さんは、どんな仕事をされていたんですか?
(佐伯さん)
「鉄鋼所です、鉄鋼関係。朝から晩までね。おしゃべりで、話好きです。性格は、明るい人でした」

 夫の明るさに助けられながら、数十年かけてローンを完済。定年後も二人で支え合って暮らしていた佐伯さん夫妻でしたが、4年前、思わぬ事態に―。

 夫・五十三さんの体に、がんが見つかったのです。

■がん判明から1か月で、夫は帰らぬ人に― 「主人のおかげです」遺してくれた年金と家

(佐伯さん)
「十二指腸がんです。手術しても『もう元気にならないかもわからない』と言われて、『ほんなら、もう俺、手術せえへん』『このままで良い』って…」

 がんが見つかった時点で、すでにステージ4で末期の状態でした。そして、がん判明から1か月後の2020年2月、病院で息を引き取りました。

 夫・五十三さんとの一番の思い出は―。

(佐伯さん)
「最後の旅行です。家族全員で行ったから。新婚旅行も行っていませんからね。『旅行なんかいつでも行ける』と言って。最初で最後、本当に…」

 がん判明直前に行った、和歌山・白浜町への最初で最後の家族旅行。

 2か月に一度の年金の中には、五十三さんの遺族年金も含まれているといいます。

(佐伯さん)
「主人のおかげです、本当に。この家を残してくれたからね。嬉しいです、本当に」

 五十三さんが大好きだったという焼酎を、仏壇にお供え。先ほどのスーパーで購入しました。

■「この子らと一緒に過ごすことが生き甲斐です」愛犬たちとの旅行を計画中

 そして、暗くなる前に、2匹の愛犬とお散歩へ。足腰の調子が悪く“最近は散歩に行けていない”ということで、今日はスタッフがお手伝い。

(佐伯さん)
「久々の散歩やから喜んでいます。こうして連れて行けたら良いねんけどね。スタッフの皆さんがいるから連れて行けるけど、一人だったら怖い」

 実は佐伯さんには、“大切な年金の使い道”があるといいます。

(佐伯さん)
「旅行に行かなあかんのでね。息子と娘と3人で、あとワンちゃんと」

 前回の家族旅行には連れて行けなかった、愛犬たちとの旅行を計画中とのこと。

(佐伯さん)
「この子らと一緒に過ごすことが、生き甲斐です。それだけです、本当に。なぁ、マミちゃん」

(「情報ライブ ミヤネ屋」2024年10月21日放送)

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