発見された戦時中の絵馬3500枚をお焚き上げ 一部保存も…適切か議論「貴重な戦争資料なぜ」 滋賀
滋賀県の神社で戦時中に兵士によって奉納された「絵馬」が発見されました。しかし今、この「絵馬」をめぐってある議論が巻き起こっています。
絵馬が見つかったのは約2年前、滋賀県長浜市にある豊国神社です。
豊国神社・湯本崇彦 宮司
「ちょうど、この拝殿の屋根裏です。この角の辺りに雨漏りがあって、業者さんに上がっていただいて見つかった」
屋根裏の梁(はり)にかけられる形で、残されていた絵馬。出征する兵士や、その関係者たちによって奉納されたとみられていて、約3500枚が見つかりました。勝利を祈願する内容や日中戦争が始まった昭和12年から太平洋戦争が終わる昭和20年までの年号が見てとれます。
宮司は、歴史博物館の元館長や遺族会、関係者らと相談し、一部の絵馬は戦争遺品として残しましたが、それ以外は全て昨年12月に「お焚き上げ」神事で燃やしました。
フリージャーナリスト・出雲一郎さん
「せっかく残ったものを、なんで80年たった今、焼いちゃうんだろうと…」
これに異を唱え、24日会見を開いたのは、フリージャナリストの出雲一郎さんら2人です。2人によりますと、絵馬には出征軍人の名前や住所が書かれていて、兵士個人の生い立ちや、戦地の特定などに繋がる重要な戦争資料だったと主張しています。
豊国神社・湯本崇彦 宮司
「本来は絵馬というのは、神様にお願いされているものですので、絵馬は事が終えたら、供養して浄化して、お焚き上げするのが本来のかたちでございますので、神社としては(お焚き上げを) 進めさせていただいたというのもあります」
軍事評論家・辻田文雄さん
「昭和12年~20年の絵馬、これは価値が全く違う。これが残っていたのが、ある意味 奇跡なんです」
絵馬を「文化財」として扱うか、「信仰の対象」と考えるか。今後もさらに議論をよびそうです。