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現役引退の内村航平 去年明かした胸中

2022年1月11日 16:32
現役引退の内村航平 去年明かした胸中

現役引退を発表した体操の内村航平選手(33)。去年10月、現役最後の大会となった世界選手権後に、日本テレビの単独インタビューに応じ、自身の進退、今後の目指す道など、その胸中を明かしていました。

▽以下、2021年10月の主なインタビュー内容

――世界選手権の演技(種目別・鉄棒6位入賞)は今後の体操人生にどんな意味を持つか?

やれることはやったし、これだけやってきても結果は出せないと思ったので、それをきっかけに身を引く可能性もある。

でも着地を止めてお客さんが喜んでくれて、結果じゃない価値も見いだせたので、まだ続けたいと思う気持ちも半分ある。今、自分の体操人生がどうなるかの結論は出せない。

――(競技を)やめるか、やめないかは?

フィフティーフィフティー。どっちにも振れるという感じ。正直やめたい思いは1ミリもないかなと。ずっと体操をやっていたいし、試合に出る出ないよりかは体操はやっていたい。新たにそういう道をつくってやるかもしれないし。

体操をやることでしか、僕は伝えられないので。体操、演技で伝えられる、そこを神髄としてやってきたので、もうちょっと追い求めてもいいのかなというのはある。

――続けていくのは試合に出るのとは違うか?

試合に出るとなると、しっかり練習もしなきゃいけないし、なかなか動かない体にムチを打ってやらなきゃいけない。そういうツラさとも向き合いながらやらないといけないので、もう少しストレスをなくして体操をやれたら、そっちがいいかなと思う。

――見いだしていくものは?

シンプルに僕がプロに転向してやりたいことが体操の価値向上、普及の部分。見てもらって子供たちが『楽しそうだな、すごいな』という取っかかりで始めてもらえればうれしい。

これだけ日本の体操は結果を残し続けてきて、もっと世間的にも評価してほしいという思いがあるので、演技をしていく中で、伝えていかなきゃいけないと思う。

――世界選手権が節目になるか?

節目になると思います。来年以降は代表に入るのは相当厳しいと思う。今よりも難しいことをやっていかないといけない。さらに質の高い練習をコンスタントにやっていかないといけないので、体にかなり負担がかかってきて、今よりも動かない状況になってしまうので、そこは現実的じゃないかなと思う。

――“一線を引く”ということですか?

そうなりますよね、表現としては。試合に出なくなったら一線を引くことになると思うので。指導者になるのはあまり考えていないので。自分が体操を続ける、実演していくみたいな形になるのかな。
体操を続けていたら現役引退ではないかなと。何をもって現役というかですよね。試合に出て代表を目指してやることが現役なのか、それとも普及とか価値の向上を見いだして体操をやることも現役というのか。

やっている時点で僕は現役だと思うので、日本代表だったり、体操競技をする選手としては一線を引くというのは間違っていないかなというのはある。

――試合に出ずに普及などいろんな観点から広めていく?

みんな指導者になって後進を育てて、というのが多いので、自分にしかできないことをやりたい気持ちはある。

――松坂大輔投手や萩野公介選手の引退を受けて感じるものは?

みんな本当に頑張った人たちだなとシンプルに思う。僕は1988年の世代なんですけど、有名なアスリートがたくさんいて、その中でも斎藤佑樹投手が引退を表明したときは、すごくよく頑張ったよねという気持ちになった。

甲子園の決勝も見たし、思うところはあった。みんながみんな美しい引退の仕方はできないんだなと。村上茉愛ちゃんは500点くらいあげてもいい終わり方じゃないですかね。あれをみんな理想としているけど無理ですね。

ここまできても、まだいけるかもしれないという欲が出てくるし、まだそこまでいけてないけど、もう無理だと思ってやめる人もいる。有終の美を飾って終われるのはうらやましい。

――体操は内村選手にとってどういうもの?

改めてだけど番狂わせはない。世界一練習した人が世界一になる世界。自分もそうだし、ほかの選手もそう感じたと思う。どれだけ世界チャンピオンになることが難しいか、僕もいい練習が積めなかったからなれなかったし、(橋本)大輝も一歩足りなかったと思う。そこは30年体操をやってきても変わらなかった。そこを証明できたのもすごくいい大会だった。

――内村選手にとって体操とは?

自分が自分だというのを証明できるコンテンツ。前は自分なのかなと思ったけど、自分ではないかなと。内村航平が体操を使って内村航平というのを示しているみたいな、証明というよりは示しているという感じ。