拓殖大・不破聖衣来“試練のシーズン”を乗り越え全日本に挑む 支えになった“姉妹の絆”
去年12月には初めての10000m出場で、当時日本歴代2位となる30分45秒21を記録し、世界選手権参加標準記録も突破。
「2028年ロサンゼルス五輪でマラソン金メダルを一番大きな目標にしています」世界最高峰の舞台で活躍することを目指す日本女子陸上のニューヒロイン。
しかし2022年は苦難のシーズンとなりました。疲労の蓄積で1月に右アキレスけん周囲炎を発症で3か月間走れない状態。4月に日本学生個人選手権では今年初のトラックレースに出場するも、結果は最下位。周回遅れにされるなど、全く自分の走りができず。そして世界選手権への選考となる5月の日本選手権10000mは欠場しました。
7月には目標にしていたアメリカ・オレゴンの世界選手権を訪れた不破選手。
「力だったりスピードを直接感じることができて、自分の力が足りないと強く感じたので、『もっと頑張ろう!』と思えました」と、悔しさもありながらも自らのモチベーションを高めていました。
そして苦しい時に心の支えとなってくれたのは、実業団ランナー3つ上の姉・亜莉珠さん(センコー)。夏には同じ合宿先であったため、様子を見に来てくれたりする仲。「ずっと小さい頃から姉に憧れてきた」と不破選手が陸上の道に進むきっかけにもなっています。
練習の内容やメンタル面に不破選手が相談すると、的確に何でも話してくれる姉。亜莉珠さんは「結果ばかりにこだわっているように思う。期待されるのはうれしいことだと思うけど、今は楽しく走ってほしい」と焦る不破選手の気持ちを察してアドバイスを送っていました。
ケガから少しずつ回復していった不破選手。5か月ぶりとなる9月の日本インカレ10000mでは復活の走り。序盤から先頭を引っ張ると、後半にスパートし優勝。レース後には久しぶりの笑顔が見られました。
「不安もたくさんあったけど、大会がすごく久しぶりでその場に立てていることにすごく喜びを感じた。今年に入ってケガをしている間にたくさんの人に支えられた。恩返しができるような走りを駅伝でしたい」
復活を遂げた不破選手。30日(日)の全日本駅伝で、去年を彷彿(ほうふつ)させる異次元の走りが見られるか注目です。