「上へ上へ駆け上がりたい」新小結・大の里(23)初優勝 支えは地元・石川の応援
大相撲・夏場所で新小結・大の里が初優勝し、喜びを語りました。初土俵から7場所目での史上最速優勝。偉業達成の支えになったのは、地元・石川への思いでした。
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去年5月、2か月前までは大学生だった初土俵直前の大の里を取材しました。デビュー直前の稽古では、掲げられた自分の「しこ名」を何度も触る初々しさも見せていました。
初土俵直前の大の里(去年5月)
「きのう番付発表があって、やっと木札に自分の名前があって、本当にお相撲さんになったんだと実感します」
「二所ノ関部屋の『大の里』です。五月(夏)場所デビューしてがんばるので、今後とも応援よろしくお願いします。負けたらすみません」
デビューから7場所。幕下付け出しの力士として、史上最速で優勝を果たした大の里。強さの秘訣(ひけつ)について、高校時代の恩師は…
海洋高校相撲部・村山大洋さん
「緊張はするけど腹を決められる性格。迷わないというか。自分でこれでいこうと思ったら、これでいけるタイプなので。それが強さなんです、彼の」
「私たちであったりとか、コーチとか含めて、自分で興味あったりとか、こうじゃないかということは、どんどん聞きに来られるタイプ。今の子たちはなかなか思っていても、聞きに来られない子が多いですけど、そういうのを臆せずどんどん聞きに来るような感じだったので」
7場所で幕内優勝まで上り詰めた大の里。去年5月にデビューし、幕下を二場所で駆け上がって、十両に昇進。さらに十両でも好成績を残し、二場所で幕内の前頭に。さらに勝ち続け、26日まで行われた五月場所は三役の一つ、小結として土俵にあがりました。
ただ、好成績を残しつつ、幕下でも十両でもあと一歩で逃してきたのが「優勝」でした。
“史上最速”初優勝 小結・大の里(26日)
「(前頭に上がった)一月場所で、こうなんだという発見があって、三月場所では支度部屋で、隣から万歳の声が聞こえてすごく悔しかった」
大の里にとって届きそうで届かなかった優勝。支えとなったのは地元・石川の応援でした。
“史上最速”初優勝 小結・大の里(26日)
「こうやって優勝して、優勝する姿を石川県の方に届けられたことが一番うれしいです」
大の里の出身は石川県津幡町です。今年2月には被災地の避難所を訪問しました。
「大の里、がんばれ」
大の里
「がんばります」
「応援しとるよ」
大の里
「ありがとうございます」
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大の里(石川・内灘町、今年2月)
「泣いている方もいたので、うれしいです。僕を、お相撲さんを見て喜んでもらえたのはうれしい。明るい話題を届けられるように頑張りたいです」
26日の千秋楽、地元・津幡町ではパブリックビューイングが行われ、多くの人が大熱狂していました。
この一年で少しずつ髪が伸び、関取らしい髪型に近づいてきた大の里。ただ、変わらない思いも…。
大の里(去年7月)
「僕は本当に、誰からも愛される関取になりたい」
大の里(27日)
「日本中から応援される、愛されるお相撲さんになりたい」
“誰からも愛されるお相撲さん”に…。史上最速で幕内初優勝まで駆け上がった大の里は、早くも次を見据えています。
史上最速初優勝 小結・大の里(27日)
「まだ上に番付があるので、もちろん優勝はうれしいですけど、最終的な目標はここじゃないと思っているので、これからまたさらに、上へ上へと駆け上がりたい」